どんな業種であれ、お店を続けていくのは大変なことだ。世の中のお店の大半が10年以内に潰れるというから、お店が10年以上存続していくには、並々ならぬ努力が必要である。最近もJR五反田駅の顔とも呼べるお店の閉店が決まったそうだ。

そのお店、「立喰ずし 都々井」は駅の高架下にあり、利用したことがあるという人も多いはず。突然店舗契約終了を通告されてしまい、移転先も決まらないままに、お店を閉じることになったという。その店先に掲げられた感謝の言葉に、思わずこみ上げてくるものがある……。

・五反田の馴染みの店

以前の記事でこのお店を紹介した時、私(佐藤)はとても良いお店だと思った。お客さんに愛されている空気がひしひしと伝わってくる。五反田駅を利用する人々の馴染みの店であり、憩いの場でもあった。

閉店について知ったのは、『トギャッチ』や『品川経済新聞』を運営する、有限会社ノオト宮脇社長のFacebookの投稿を見てのことだった。まさか都々井が閉店することになるとは。しかも大家であるJR東日本からの通告で、立ち退かざるを得なくなるとは思わなかった。耐震補強工事の兼ね合いか何かだろうか?

とにかく、閉店の情報を聞いた私が店に向かったところ……店先に「告知と感謝」と題された貼り紙が! それを読んで、思わず胸が締め付けられることになったのだ。

・「告知と感謝」

「この度、大家(JR)からの突然の通告により、店舗契約が終了となり、今月、3月18日をもって閉店させていただく次第となりました。現在もですが、今までもいろいろなお客様方に来店していただき、感謝思いしかありません。

大した事も出来ませんでしたが、この店で楽しそうに過ごしている姿を見たり、『美味しかったです』などと声をかけていただいた事が、何よりも最高の思い出でした。

足繁く当店に通っていただいた方々に対して本当に心苦しいのですが、この店を閉める事をお許しください。皆様方のこれからの多幸を心よりお祈りいたします。

世界で最高のお客様に来ていただいた事が、何よりも一番の自慢です。本当に、本当にありがとうございました。」(都々井の貼り紙より・原文まま)

・残念で仕方がない

事情を想像すると、きっと店主もスタッフの皆さんも困り果てているに違いない。それにもかかわらず、感謝の思いが詰まった言葉に、胸が熱くなってしまう。

「世界で最高のお客様」、お店の人がそう思っているからこそ、愛される店であったに違いない。どれだけの人が、こんなに温かい思いを持って接客の仕事をしているだろうか? こんなに素晴らしい心構えで続いてきたお店が、突然の通告により閉店するのは本当に残念で仕方がない。

幸い、と言うべきなのか、同店は移転先を五反田で探しているようだ。再開したらぜひ行きたいと思う人は、お店で連絡先を伝えておくといいだろう。いずれにしても、3月18日までは営業しているので、閉店前に食い納めをしておきたいところである。

・今回訪問した店舗の情報

店名 立喰ずし 都々井
住所 東京都品川区東五反田1-26-2
営業時間  11:30~25:00 / 土祝11:30~24:00 (現住所での営業は3月18日まで)
定休日 日曜日

参考リンク:品川経済新聞
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24