asanoya9
突然だが、恋って何色だと思う? 『恋は桃色』という歌があるけれど、本当にそんな綺麗な色だろうか。確かにウキウキする気持ちもなくはないけれど、どちらかと言うと私(中澤)は、嫉妬や苛立ちなどで不安定になることの方が多い。したがって、色に例えるならむしろ複雑で暗い……そう、そばつゆのような

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。四ツ谷に素晴らしいつゆを出すそば屋があったためご紹介したい。時に甘く、時に辛く、ゆずの香りがほのかに漂うその味は、まさに恋の味

・外観は普通の街のそば屋さん

その店の名は『浅野屋』。四ツ谷三丁目駅を出て外苑東通りを南下すると、右手に見えてくる。ビルの一角にかかった藍色のれん、木のメニュー立てに、「浅野屋」と書かれた行燈と、いかにも「街に根ざしたそば屋」という風情がにじみ出ている。
asanoya
メニューは、もり・かけが550円、高いものだと天ざる1340円と、特にメニューや値段的にお得感のある特徴があるわけではない。どちらかと言うと、一見さんは入りづらい雰囲気だ。
asanoya2

・引力

だがしかし、何かに呼ばれているような気がした。1度この店を横目に通りすぎて、また戻って来てじっくりのれんを見上げる。外観は普通の店なのに、気になってしょうがない。「引力」とでも言うのだろうか? 気づけば、この店の扉を開いている私がいた。

店内は、縦長で奥行きがあり外観で想像したよりずっと広かった。机席はほぼ埋まっているが、お客さんが多すぎず少なすぎない穴場感は快適である。女将さんが注文を取りに来たので、鳥せいろ(税込850円)を注文。
asanoya4

・私を呼んでいたのは

運ばれてきたそばはなかなかのものだった。美しく揃った麺に、大振りの鳥肉が入ったつゆ。そばをつゆにつけると、ゆらゆらとつゆに舞う細麺からどことなく底知れない雰囲気を感じた。とりあえず食べてみよう。いただきます。
asanoya7
……とても繊細な味だ。口に含んだ瞬間、ふわっと口の中に麺が広がるような感覚に襲われる。スルスルと喉を通る絹のようなのど越しには、野暮ったさが一切ない。ウマい。
asanoya8
そして、そんな麺以上にウマいのがつゆだ。甘辛さの中に感じる深いコク。その濃さにもかかわらず、麺ののど越しを一切邪魔しない味。時に甘く、時に辛く、私を惑わせるその味は……「濃い」ならぬ「恋」! さらに、ふんわり漂うゆずの香りが切なく胸を締めつける!! 私を呼んでいたのはお前だったのか!
asanoya6

・都内屈指のつゆ

このつゆの前では、麺さえも脇役と言わざるを得ない。さらに、蕎麦湯を入れるとスッキリ爽やかな満足感。上品な食後感も、つゆの味あってこそのものだろう。個人的には都内屈指のつゆを出していると思ったこの店、恋の味を思い出したい人は訪れてみてはいかがだろうか。

・今回紹介した店舗の情報

店名 浅野屋
住所 東京都新宿区左門町13
営業時間 月~金11:00~14:30、16:00~20:30 / 土11:00~14:30
定休日 日、祝日

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.
こちらもどうぞ → シリーズ「立ちそば放浪記

▼のど越しが絹のようなそばと
asanoya5
▼恋の味がするつゆ!
asanoya9