山の向こうに抜けた洞窟

東京からアクアラインをひとっ走り。東京湾の対岸にある千葉・木更津市の郊外で催された「とある集り」。参加者がめいめい自前のドローンを持ち寄り、好き勝手に飛ばす──というイベントだが、個人的にドローンより興味津々だったのが、会場となった「山」。

参加者から通称「金井山」と呼ばれているこの山、実は今日の集まりの呼びかけ人である金井健さんの個人的な持ち物。

廃墟や謎のトンネルなどが点在するこの山を、数年前「面白そうだから」という理由だけで手に入れた金井さん。「山を買う」といえば、男なら誰しも一度は想像する代表的な夢のひとつ。その夢を実現した男が、実際どんな楽しみ方をしているのか、興味深々。確かめてきた!

・ドローン飛ばし放題!

東京湾アクアラインを抜け、木更津市内を経由して約20分。県道沿いに佇む煤けた雑貨店が、秘境・金井山のエントランスだ。

雑貨店の角を曲がり、車1台ようやく通れる私道に入ると、道はぬかるんだあぜ道に変わる。私道の果てには学校の体育館がすっぽり入るくらいの広場があり、金井さんの知人・友人がドローンのセッティングをしていた。

数年前から「世界最速」を目指し、ひとりコツコツ、何台もの自作ドローンを組み立てている金井さん。この日は公開可能な最新の機体である「H4R」のお披露目会。3枚(通常2枚)プロペラに加え、補助エンジンとしてラジコン飛行機用の電動ジェット(ダクテッドファン)を搭載する爆速ドローンだ。

整備中のドローン。サイズは見ての通り

新兵器の電動ジェット搭載!

何の前振りもなく、大型犬2匹分くらいあるビッグなドローンを離陸させた金井さん。加速のたびに「ヒュウィィィィィィン」という甲高い音を立て、大空を飛び回る黒い影。ホビードローンとは一線を画す不気味な飛行に、一同うっとり。

これが金井山だ! 持ち主も敷地の境界がよくわからないらしい
この金井山。総面積は5万平米(東京ドームがすっぽり収まる)あるそうだが、金井さんいわく、高速ドローンを飛ばすには視界が悪く、これでも手狭らしい。

山を手に入れたとき、元々の持ち主は管理しきれず、まさに荒れ放題だった。そこに私物のユンボを持ち込んで、自ら削ったり掘ったり伐採したり……。何を隠そう、ドローンが離着陸する大広場も、県道から伸びるあぜ道も、全て金井さんがセルフ開拓したものだった!

参加者を探検ツアーにいざなう

必要以上の探検気分が味わえた!

山中には、岩肌にぽっかり口を開けた謎のトンネルや、明治時代に建てられた大きなお屋敷が廃墟として現存している。金井さんの先導で、参加者たちが築110年オーバーの屋敷に潜入すると、当時の家財道具や雑誌など、見る人によっては大変なお宝が散乱。まるでSF映画の世界がそこにあった。

どよーんと佇む廃屋。かなりの豪邸

残された家財道具は当時のまま

ユンボがあれば、ものの1時間で破壊できそうな瀕死の廃墟。しかし、むやみに壊すと再建築許可が取りにくい──という理由から、大リフォームも検討中。のんびり、コツコツ、原寸大のジオラマ作りを楽しんでしまうとは、これぞ男のロマン……。

そんな金井山だが、ドローン以外の使い道は今のところ熟考中。提案のある方は、Facebookで「Kanai-yama(金井山)」を検索。どしどし教えてほしい! とのことだ。

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.

▼加速時の「音」に注目!(撮影:金井健氏)

▼DJI MAVIC PROでH4Rを激写(撮影:福田達也氏)

▼これが金井山だ! 山というのは敷地の境界がかなり適当らしい
これが金井山だ! 持ち主も敷地の境界がよくわからないらしい

▼整備中のドローン。サイズは見ての通り
整備中のドローン。サイズは見ての通り

▼新兵器の電動ジェット!
新兵器の電動ジェット搭載!

▼参加者をツアーにいざなう
参加者を探検ツアーにいざなう

▼お先真っ暗。気分出過ぎのトンネル探検
必要以上の探検気分が味わえた!

▼どよーんと佇む廃屋。かなりの豪邸
どよーんと佇む廃屋。かなりの豪邸

▼家財道具は当時のまま!
残された家財道具は当時のまま