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真っ赤な空に沈む黄金の夕日……夕焼けにはたまにハッとさせられる。映画やアニメでも、叙情的なシーンに使われることが多い夕焼け。その美しさと切なさは、油断したら泣いてしまうレベルだ。

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。今回はそんな夕焼けのように切なさと美しさとウマさが同居した人形町の『福そば』をお伝えしよう。歴史を感じさせる下町風景と共に生きる絶品そばに病みつき必至!

・下町にマッチしながらも漂う上品さ

東京メトロの人形町駅から徒歩3分ほどの距離にある『福そば』。オレンジの木の看板、のれん、木でできたコンパクトな扉など、「和」を感じさせるその外観は、人形町の街並みにマッチしながらもどことなく上品さが漂っている。お邪魔します。

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扉を開けるとすぐにカウンターがあり、左手の券売機の前には2~3人が並んでいた。店内は長いカウンターが奥まで続いている構造で、食券を買った人から順に奥のカウンターにつめていく。私(中澤)はオススメされていた「天玉そば(480円)」の食券を購入し奥に入った。

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・天ぷらを選べる

すると、ちょうど目の前に何種類もの天ぷらが揚げ置きされているケースが見えた。天ぷらそばと天玉そばは、好きな天ぷらを選ぶことができるという。緑豊かな春菊や、見た目で具の大きさが分かるかき揚げも良いが……ここは、鮮やかな赤が明らかに目立っている紅しょうが天にすることに。

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かくして、カウンターに置かれたそば。フタのようにかぶさる紅しょうが天が燃えているようだ。さらに、半熟卵があるのもポイント。この組み合わせがトッピングなしの通常メニューで食べられるのは、なかなかレアな気がする。ひと口食べてみたところ……

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文句ない! 紅しょうがの「ピリッ!」が生きるサクサク天ぷらは、まろやかなつゆと相性抜群。さらにそばは細麺で、スベスベしたのどごしが心地良い。その2つにつゆの味が染みればさらに箸が進む進む。このつゆウメェ……。

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・真の姿を見せたそば

上記のように、ただでさえ激ウマなこのそば。だが、まだ最終形態ではなかったことを知ったのは、半熟卵を割った時だった。白身から自由になった黄身がつゆにトロけ出した時、私は見たのだ。そばに落ちる夕日を!

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つゆを吸って広がった紅しょうが天と、黄身の黄金色の対比はまさしく夕暮れ。半熟卵がさらにつゆをトロけるほどまろやかにする中で、時おり差し込む光のような紅しょうがのピリ辛。こんなもんウマくないわけがあるかァァァアアア!!

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2段階の味が楽しめるこの店。職場が近所にあったら週5で通うレベルだ。なお、私が衝撃を受けている間も、お客さんは入れ替わりたちかわり入店しており、注文の際、店主さんが「いつものでいいですか?」と聞くことも多く、常連の多さをうかがわせた。そういう部分からも盤石の味であると言えるだろう。

・今回紹介した店舗の情報

店名 福そば
住所 東京都中央区日本橋人形町1-16-3
営業時間 月~金6:40~20:30 / 土・祝日6:40~16:00
定休日 日曜定休

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼そばの中の夕暮れ
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