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今、カナダではある「ネコの詐欺」が発生しているという。毛が刈られた状態の普通のネコが、毛が全く生えていない “無毛種” だと偽られて販売されているのだ。

カミソリで毛を刈られたネコの体は傷つき、なかには重い感染症にかかるケースも報告されているようだ。詳細をお伝えしたい。

・被害者「本当に無毛種だと思った」

「初めて見たときは、本当にスフィンクスだと思いました。体も顔も痩せこけていたからです」。そうカナダ国営メディア『CBC』に語るのは、詐欺の被害にあったジョアンナ・ダイクさん。スフィンクスとは、無毛種の代表格のネコ種だ。

カナダ・アルバータ州に住む彼女は、ネット掲示板で “無毛種” だとして販売されていた生後8週間の子ネコを、700カナダドル(約5万8000円)で購入したという。

・動物病院に連れて行って、詐欺が判明

ヴラドと名付けられた子ネコだったが、ダイクさんの先住ネコとの折り合いがつかなかったため、シャニヤ・ユンさんに譲られることになった。

ヴラドの体がずっと震えていて、具合が悪そうなことに気が付いたユンさんは、すぐに動物病院に連れて行くことに。するとヴラドはスフィンクスではなく、毛を刈られた雑種であることが判明したのだった。

・感染症により、尻尾を切断する可能性もあった

獣医師によると、カミソリで毛を刈られたヴラドの皮膚は傷つき、ほおひげも全て無くなっていたとのこと。特にヒドい尻尾の傷は、重い感染症を起こしていたそうだ。

尻尾を切断する必要があるかもしれないと言われていたが、治療のかいもあってヴラドの容態は回復。尻尾もそのまま。「今では生まれ変わったように、生き生きしています。飛び跳ねて走り回ったり、犬と遊んだり、健康そのものです」とユンさんは話している。

スフィンクスではなく、茶トラの雑種だったヴラドは、これからずっとユンさんの元で暮らしていくそうだ。

・動物愛護団体「身元のシッカリしたところから、動物を引き取ってほしい」

同様の詐欺の報告がいくつも挙がっていることから、現在、動物愛護団体「SPCA(Society for the Prevention of Cruelty to Animals) 」が調査を進めている。

SPCA 担当者は「犯罪者にお金を渡さないためにも、ネコを飼いたい場合は動物保護団体から引き取ることをオススメします」と話している。どうしてもスフィンクスなど特殊なネコを飼いたい人に対しては、「その動物の飼育環境が見学できる、身元のしっかりしたブリーダーなどをあたるべき」とアドバイスしている。

またダイクさんも、「動物たちがどういった場所で育ったか確認すべきです。飼育環境を見せてくれないのは、悪いサインです」と述べている。彼女の場合は、販売者の “友人” が子ネコを届けにやって来たという。

日本でも動物飼育に対する姿勢が変わりつつあるが、まだまだ改善しなければならない点はたくさんある。私たちもこれらのアドバイスに真摯に耳を傾ける必要があるはずだ。

参照元:CBC News[1][2][3](英語)、Twitter @CBC News
執筆:小千谷サチ

▼毛を刈られたヴラド

▼幸せそうに暮らしているヴラド