米国第45代大統領にドナルド・トランプ氏が当選し、世界中が驚きを隠せないなか、本国アメリカでは、女性やマイノリティの人達が脅威を感じ始めているようだ。

選挙中にトランプ氏は、「全てのイスラム教徒を入国禁止にするべきだ」と主張したり、女性蔑視や性差別的な発言が目立ち物議を醸していた。そして氏が当選したことで、あるイスラム教徒の女性が、「中東の民族衣装ヒジャブの代わりに、帽子を被ることにした」と宣言し、ネットで話題を呼んでいるのだ。

・ヒジャブの代わりに帽子を被るようになった中東女性

米ワシントン特別区に住む23歳のブレア・イマニさんは、中東系アメリカ人で、女性の権利を訴える非営利団体「Equality for HER:イクオリティ・フォー・ハー」の設立者だ。

マイノリティの権利のために戦う彼女は、中東系の女性が頭を覆うヒジャブを身に着けていたが、トランプ氏の当選後、抑えようのない恐怖や脅威を感じるようになったという。

・自分の身を守るために取らざるを得なかった選択……

現在アメリカでは、人種差別的な発言が目立ったトランプ氏が当選したことで、差別と偏見に基づく攻撃「ヘイトクライム」が急増。全米各地で、至る所にナチスの鉤(かぎ)十字が落書きされたり、イスラム系やヒスパニック系の人達に対する嫌がらせが増加し、移民の人々が、身の危険を感じずにはいられない状況に陥っているそうだ。

トランプ氏が当選する前も、ブレアさんはヒジャブを身に着けていることで、テロリスト呼ばわれされたり、人種差別的な言葉を罵られたことがあったとのこと。

・イスラム教徒だと容易にヘイトクライムのターゲットに

それでも彼女は、自分の信念のためにヒジャブを被り続けてきた。だが、イスラム教徒であることが明らかなヒジャブを被っていると、容易にヘイトクライムのターゲットになってしまう。そこで、信念を折り曲げ、自分の身の安全を優先させることにしたのである。

トランプ氏は、自分の支持者達にヘイトクライムをやめるよう訴えかけているが、氏が当選したことによる影響は、まだまだ続きそうな気配を見せている。

サンフランシスコに住んでいる筆者の友達が、先日Facebookに、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)が道を行進している動画を投稿していた。全米が混乱に陥ることで、どのような影響が世界に及ぶのかが心配でならない。

参照元:Facebook @Blair Imaniindy100(英語)
執筆:Nekolas