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出雲大社のある島根県出雲市には、謎めいた場所がいくつも存在する。出雲は神話の舞台であり、さまざまな言い伝えを有するミステリアスな土地だ。

そのなかでも、あの世(黄泉の国)にまつわるエピソードは神秘的であると同時に、恐れを感じさせるものがある。特に猪目(いのめ)洞窟は「見ると死ぬ」とさえ言われる場所だ。そこに行くとどうなるのか? まさか本当に死んでしまうのか?

・行きたくない

島根県松江市出身の私(佐藤)だが、この洞窟のことは知らなかった。最近帰省した際に、古い知り合いが「見ると死ぬって言われている洞窟に行きましょうよ。見てみたいでしょ?」という。全然見たくない。どんな言い伝えがあるのか知らないけど、1パーセントでも命の危険を感じるような場所に、なぜ行かなければいけないのか?

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かたくなに拒んでいたのに、なかば強引に連れて行かれることになってしまった。戻って来れなくなったらどうするんだよ……。

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・山道を超えて小さな漁村へ

出雲大社から車で約30分のところに、洞窟はあるらしい。峠を越え山を越え、舗装されているとはいえ、かなり険しい山道を超えて、目的地近くの漁村に出た。この地域はきっと冬は恐ろしく寒いのだろう。小さな漁村には人影がほとんどなく、何かしら恐怖心をあおるものがある。

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まだまだ険しい道を行くのかと思ったら、突然看板が目に飛び込んできた。あれ? もっとダイナミックなドラマがあるのかと思ったのに、どうやら到着したらしい。ここが猪目洞窟なのか?

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眼下に広がる湾を見下ろすと、釣り人がチラホラ。月曜日なのに、お休みなのかな? そんな心配より、自分の命の心配をしないと……。

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・険しい断崖絶壁

もしや、この奥が目的の洞窟なのだろうか? 穏やかに凪いでいる湾とは異なり、険しく切り立った断崖絶壁。巨大な岩盤が織りなす層は、まるでこれまでの地球の歴史を描いているようだ。この先には何があるのか?

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・まだ引き返せる……

私の心臓が激しく脈打っている。正直、怖い。もしも本当に命にかかわるようなことがあったら……。今ならまだ引き返せる。そうだ、ここには来なかったことにして、すぐにこの場を立ち去れば良いじゃないか。しかし、真相を突き止めようとする心が、身体と裏腹に前へと歩を進めている。

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ここは小さな船着き場になっているらしい。船や漁具があちらこちらに野ざらしになっていた。人々の生活の断片を垣間見ることができる。

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・小さな祠

恐怖心を抱きながらも、さらに先に進むと……。

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小さな祠がある。これは一体!?

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私はすでに洞窟の中に足を踏み入れていることになるのだろうか? そうでないのならば、ここで引き返すべきか? 胸を打つ音が次第に大きくなっていくように感じる。ヤバい、おしっこ漏れそう……。

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・あ、あれは!?

恐怖と好奇心の激しいせめぎ合いが心で起きている。もはや、私自身どうしたいのかわからなくなっている。行くべきか? 戻るべきか? 「ここは引き返しておくべき」と天使の声。「いや、最後まで見極めろ」と悪魔の声。人間である私は天使と悪魔両方をの声を聞き入れてしまう。どうしたらいい? あ、あれは!?

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私の目に飛び込んできたモノとは!?

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行き止まり……。

実はここの洞窟は黄泉に通じると言われているそうだ。夢のなかで、ここに行くところを見ると、死ぬと言い伝えられているのだとか。寝ていなければ、問題ないのか? 地元の人によると、「夜ここに来ると死ぬ」とも言われているらしい。

いずれにも真実は定かではない。ちなみに私の育った松江市東出雲町には、「黄泉平坂(よもつひらさか)」という、こちらも黄泉の入り口がある。そちらには、見ると死ぬといった言い伝えはなかった。とにかく、ミステリーに満ち溢れている。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24