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“統治される者だけでなく、統治する者も法に従うべきである” という意味を持つ「法の支配」。王様であっても、正義の法に逆らうことはできないと言われている。しかし世界には法の支配が守られず、権力を拘束できていない国も存在する。一体どんな国がそうなのか?

そこで今回は、米非営利団体『ワールド・ジャスティス・プロジェクト(WJP)』が調査・発表した「法の支配ランキング 2016年版(World Justice Project Rule of Law Index 2016)」をご紹介したい。

・法の支配が弱いのはどの国?

WJP が毎年発表する「法の支配ランキング」。この度発表された2016年版では、世界113カ国・地域の10万世帯を調査し、汚職の少なさ、基本的な権利の保護、政府の開放度など44項目を評価しランク付けされている。

まずは「法の支配ランキング」の90〜113位の国を下位からお伝えしたい。これらは法の支配が弱い、いわば “無法国家” の傾向が強い国々だ。

【法の支配ランキング 113〜90位】()内は各国の得点。最高点は1.0。
第113位:ベネズエラ(0.28)
第112位:カンボジア(0.33)
第111位:アフガニスタン(0.35)
第110位:エジプト(0.37)

第109位:カメルーン(0.37)
第108位:ジンバブエ(0.37)
第107位:エチオピア(0.38)
第106位:パキスタン(0.38)
第105位:ウガンダ(0.39)
第104位:ボリビア(0.40)
第103位:バングラデシュ(0.41)
第102位:ホンジュラス(0.42)
第101位:ニカラグア(0.42)
第100位:ケニア(0.43)

第99位:トルコ(0.43)
第98位:ミャンマー(0.43)
第97位:グアテマラ(0.44)
第96位:ナイジェリア(0.44)
第95位:シエラレオネ(0.45)
第94位:リベリア(0.45)
第93位:ウズベキスタン(0.45)
第92位:ロシア(0.45)
第91位:エクアドル(0.45)
第90位:マダガスカル(0.45)

ワースト1位ベネズエラは、「政府権力の制限」「規制執行」「刑事司法」部門で最下位。「政府の開放度」など他部門でも軒並み100番台となっていた。特に “プライバシーの権利” や “適正な矯正システム” などに、大きな問題が見られるようだ。

・では法の支配が強い国は?

対して法の支配が強いのはどのような国々なのか? 以下が「法の支配ランキング」1〜30位だ。

【法の支配ランキング 1〜30位】()内は各国の得点。最高点は1.0。
第1位:デンマーク(0.89)
第2位:ノルウェー(0.88)
第3位:フィンランド(0.87)
第4位:スウェーデン(0.86)
第5位:オランダ(0.86)
第6位:ドイツ(0.83)
第7位:オーストリア(0.83)
第8位:ニュージーランド(0.83)
第9位:シンガポール(0.82)
第10位:英国(0.81)

第11位:オーストラリア(0.81)
第12位:カナダ(0.81)
第13位:ベルギー(0.79)
第14位:エストニア(0.79)
第15位:日本(0.78)
第16位:香港(0.77)
第17位:チェコ(0.75)
第18位:アメリカ合衆国(0.74)
第19位:大韓民国(0.73)
第20位:ウルグアイ(0.72)

第21位:フランス(0.72)
第22位:ポーランド(0.71)
第23位:ポルトガル(0.71)
第24位:スペイン(0.70)
第25位:コスタリカ(0.68)
第26位:チリ(0.68)
第27位:スロベニア(0.67)
第28位:バルバドス(0.67)
第29位:アンティグア・バーブーダ(0.67)
第30位:セントクリストファー・ネーヴィス(0.66)

ちなみに日本は「民事司法」部門の評価が6位、「秩序・治安」が9位だったのに比べ、「政府の開放度」と「刑事司法」が共に21位、「基本的な権利」が23位とやや低評価だった。

他のアジア諸国の総合ランキング順位は、モンゴル55位、マレーシア56位、ベトナム67位、フィリピン70位、中国80位などとなっている。

参照元:indy100World Justice Project(英語)、コトバンク
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.