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2016年、世界をワクワクさせた中国の新型バス「Transit Elevated Bus(TEB / 巴鉄)」! 以前の記事でも紹介したが、正面から見ると「円」のような見た目で道路をまたぐ形で走行、上部分に乗客を乗せ、下のトンネル部分はクルマが走行できるという新交通システムだ。

斬新な発想と、近未来感あるフォルムに海外メディアだけでなく、中国ネット民も「今度こそ中国オリジナルだ!!」と大いに盛り上がったものである。そのTEBに今まさかの疑惑の目が向けられている。計画自体が実現不可能、投資詐欺ではないかという指摘が入っているのだ。

・中国の近未来バスに投資詐欺疑惑

道路を立体的に使う交通システムTEB。クルマの流れを止めることなく、多くの乗客を運ぶことができるというものだ。渋滞緩和が期待でき、輸送力は1200人乗りと巨大。さらに建設コストも地下鉄の5分の1以下で、1年あれば完成するという夢の乗り物だ。

斬新なアイディアと、カッコよさが注目されたが、一方で様々な問題点も指摘されていた。たとえば試運転に使われた車両は「トンネル部分が2mほどしかなく乗用車がギリギリ通れるくらいの高さしかないこと」、また「カーブを曲がれるのか不安な作り」などなど。

TEBサイドは設計に問題ないと解説しているが、公道を走るのは難しいのではないかとも言われていた。そんななか、中国メディア『南方都市報』や『新京報』などが衝撃的な報道! TEBの投資を請け負っていた企業が、過去に違法金融活動をしていた “ブラックリスト企業” であり、今回も不正な資金集めではないかというのである。

これまでの経緯をまとめると以下のとおりだ。

・これまでの経緯

2010年:構想が発表。米誌『TIME』で「2010年ベスト発明50」に選ばれる。2011年に試運転開始と見られるも、実現せず。

2016年5月19日:
「中国北京国際科技産業博覧会」で模型が展示。世界中に大拡散!

2016年8月2日:河北省秦皇島市で試運転スタート! 仕事早すぎ、商業運転も近いと注目される。

2016年8月5日:秦皇島市サイドが「交通システムとしては認可していない」とコメント。公道を走る許可が取れていない疑惑浮上。

2016年8月5日:TEBの投資を請け負っていた企業『華贏凱来』が、過去に違法な金融活動をしていた “ブラックリスト企業” だったと報じられる。TEBプロジェクトにも投資詐欺だった?

2016年8月8日:『華贏凱来』の法務部担当が「(TEBに)違法な資金集めの事実はない」と回答。

2016年8月15日:予定されていたTEBのセレモニーが延期に。

2016年8月24日:TEBと秦皇島市人民政府間の「試運転に関する契約」が8月末で終了すると判明。

別の契約を結ぶ可能性もあるが、現在の契約には「道路を元に戻す」という項目が含まれており、試運転ルートはこのまま廃止になるのではないかと報じられる。 ← いまココ!

・詐欺なのか? 実現するのか?

TEBサイド、及び資金管理会社の『華贏凱来』は火消しに走っているようだが、いまのところコレと言った決め手はないよう。逮捕報道などは出ていないものの、ネットでは濃厚な「詐欺だったか~」ムードに包まれている。

ただ、気になるのはわざわざ実物大車両を作って、短い距離とは言え試運転までし、それを大々的にアピールしていることだ。ただの詐欺にしては大がかりすぎる。TEBが中国の大地を走る日が来るのか。それとも、やはり実現不可能な詐欺プロジェクトだったのか。

アイディアとしては面白いだけに、詐欺目的だとしたら残念。今後の展開を見守りたい。

参照元:YouTube、新浪財経 [1] [2]ニューヨークタイムズ中文版TEB公式サイト(中国語)、TIME(英語)
執筆:沢井メグ


▼投資詐欺問題を指摘、投資会社の会長について伝えた映像

▼2016年に発表された模型

▼試験運転の際の映像。台湾メディアも取材していた