イジメ、絶対にダメ。誰もがそう分かっていても、大人の世界でも子供の世界でも、イジメがなくならないのが現状だ。けれども、「なくならないから」と諦めてしまってはいけない。

この度、1人の教師がイジメをなくそうとある特別な授業を行った。2つのリンゴを使って、「イジメがいかに人の心を傷つけるのか」を子供たちに説明したというのだ。一体どのような授業だったのだろうか?

・見た目が同じの2つのリンゴ

ある教師が、 “2つのリンゴ” を使って授業を行った。一見普通の2つのリンゴ。だが授業の前に教師は、生徒には内緒で、その内の1つのリンゴを繰り返し床に落としておいたそうだ。床に落としていないリンゴを “A” 、落としたリンゴを “B” としておこう。

教師が生徒に2つのリンゴを見せたところ、生徒たちからは「2つとも赤い」「大きさが同じ」「両方ともツヤツヤしていて、美味しそう」などの感想が返ってきた。

・“リンゴB” に向かってヒドい言葉をかける

しかし突然、教師は “リンゴB” に向かって「私はこのリンゴが大嫌いです」と宣言。いかに汚らしい色をしているか、軸が短すぎるかなど、自分がどれほどそのリンゴを嫌っているかを説明したという。

そして生徒に対しても、「みんなにもこのリンゴを嫌いになってほしい。リンゴに向かってヒドい言葉を浴びせなさい」と言ったのだ。

そんな教師の命令にビックリした生徒もいたようだが、みんな言いつけを守って “リンゴB” に向かってヒドい言葉を次々と投げつける。「くさ〜い」「なんでこんなリンゴが存在しているんだろう?」「虫食い」……。

逆に “リンゴA” に対しては、みんなで「とてもカワイイね」「ツヤツヤだ」「素敵な色」など褒め言葉をかけたとのこと。

・2つのリンゴを切ってみると……

そして再び、両方のリンゴの外見がソックリであることを生徒に確認した後、教師は2つのリンゴを真っ二つに切る。“リンゴA” の中身は真っ白でとてもキレイなのに対し、何度も床に落とされた “リンゴB” の中身はアザだらけだった。

その2つのリンゴの違いを見た瞬間、生徒全員がイジメがどういったものか悟ったそう。他人からヒドい言葉を投げかけられたり、不誠実な態度をとられれば、誰だって “リンゴB” のように内側に痛々しい傷やアザを負ってしまうことを生徒たちは痛感したのだ。

・教師「内面に大きな恐怖を抱えていても、表面に出さないこともある」

教育団体『Relax Kids Tamworth』の Facebook に投稿された、この授業。担当した教師は、イジメや心無い言葉を投げつけられることについて以下のように語っている。

「人間、とくに子供は、内面に大きな恐怖を抱えていても、表面に出さなかったり、誰にも話さないことがあります。あのリンゴを2つに切ってみなければ、リンゴがどれほどの傷を負っていたか分かりませんでした」

“2つのリンゴ” の授業を通して、意地悪な言葉が人の心を傷つけるのかを教えたかったというこの教師。子供たちに他人が傷つくことを教え、話し合っていけば、イジメはなくなっていくだろうとつづっている。

実は今回の授業でも、リンゴに意地悪な言葉をかけるのを断った少女がいたようだ。彼女は、意地悪な言葉をかけられるのが、どういったことか分かっていたのかもしれない。

参照元:Metro(英語)、Facebook
執筆:小千谷サチ