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この春、インドを熱波が襲い600人以上の死者を出しているニュースを皆さんもご覧になったかもしれない。だが暑いのはインドだけではない。お隣・バングラデシュでも夏になると45度を超すのだという。

でも、バングラでは多くの家庭に電気が通っていない……そんななか、電気なしで涼しくできる「エコクーラー」のアイディアが注目を浴びている。夏休みの工作レベルのスキルがあれば誰でも作れるうえ、なんと室温を5度も下げることができるというのだ!!

・バングラ発の電気代0円クーラー

この活動に取り組んでいるのは、現地の企業「Grey Bangladesh(グレイ・バングラディシュ)」と「Grameen Intel Social Business(グラミン・インテル・ソーシャル・ビジネス)」の2社だ。

0円クーラーは、本当に目からウロコのアイディア! その作り方は動画「Eco-Cooler: The Zero Electricity Air Cooler」で確認できるが、ザックリ文字で説明すると以下のとおり。

・エコクーラーの作り方

【材料】
窓を覆うことができるくらいの板
大量のペットボトル

【作り方】

1.ペットボトルのお尻の部分をカット。

2.キャップをつけた状態で、先端を少しカットする。切ったあと、ペットボトルの口が見えればOK。

3.板に、用意したボトルの数だけ、ペットボトルの口がハマるくらいの大きさの穴をあける。動画では、穴を縦横キレイに規則正しく開けているぞ。

4.穴にペットボトルを挿しこむ。

5.窓に板を取り付け! ペットボトルのお尻が外に、口が家の中にくるように設置すれば完成だ。

──以上である!

たったこれだけ? ……と、思いたくなるが、グレイ・バングラデシュによると、なんと室温を5度下げることに成功したそうだ。動画を見てみると、おうちの中にいる人も、涼しくて気持ちよさそう!

・とてもシンプルな理屈

それにしても、どうしてこれがクーラーになるのだろう? 動画によると、その理屈はとてもシンプルだ。皆さんも、手のひらに、口を大きく開けて「ハーッ」と息を吹きかけてみてほしい。すると、あたたかい空気が出て来るだろう。

しかし、口を丸くして「フーッ」と息を吹きかけると……あら不思議!! 同じ自分の息なのに、冷たい空気が出て来る。なるほど! それで、ペットボトルの狭い口を家の中に向けているんだな!! 外の熱気がペットボトルの狭い口を通り、家の中に入るときに冷たい空気に=電気代0円のクーラーというわけなのである。

・村の2万8000人が電気のない生活

2012年に発表されたJETROの報告によると、バングラデシュでは都市部の電力化は90%を超えているものの、農村部ではまだ50%ほどであるそうだ。動画に登場する村「ダウラディア」では、2万8000人が電気のない生活をしているという。そこに取り入れられたエコクーラーが、どれだけ喜ばれたかは、人々の表情を見ればすぐにわかるだろう。

このエコクーラーは、他にも複数の村で導入されているそう。インフラ整備が急がれるとされているが、酷暑は待ってはくれない。いまあるもので快適な生活を目指す。そんな取り組みには世界中から賞賛の声が寄せられているのである。

参照元:France 24GREY(英語)、YouTubeJETROCNN
執筆:沢井メグ

▼こちらがその動画! 涼しくて気持ち良さそうだ