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突然だが、お菓子の “ひよ子” をご存じだろうか? こんがりと焼けた茶色の皮に、白あんがたっぷり詰まった、ヒヨコ形の可愛らしい饅頭だ。こちらの “ひよ子” 、どこの名産品かというと……。福岡県民ならば福岡と答えるだろうし、それ以外の人にとってみれば東京のイメージも強いだろう。

それもそのはず。本社は福岡にあるが東京にもグループ会社があり、東京駅などで「東京みやげ」として売り出しているから。いやいや、本社が福岡なら「福岡みやげ」やろうもん! かくなる上は福岡みやげか東京みやげか、決着つけちゃるけん!! 直接、「ひよ子」に電話をかけて確かめてみた。

・生まれは福岡県飯塚市

ひよ子が生まれたのは大正元年(1912)のこと。なんと今年で104年目を迎える、ロングセラー商品だ。誕生の地は炭鉱の街として知られる福岡県飯塚市。鎖国の時代から、長崎に輸入された砂糖が運ばれる長崎街道(シュガーロード)の影響で、昔からお菓子作りが盛んな地域だ。

福岡県産のひよ子が県外へと羽ばたくきっかけとなったのは、1964年に開催された東京オリンピック。オリンピックを機に東京駅八重洲地下街に東京1号店が出店し、それ以降は東京でも親しまれるようになった。今や、同社の公式サイトに「東京土産としても愛されるようになりました」と書かれるほどだ。

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・だから結局どっちのみやげ物なの?

福岡が発祥地なら、もう福岡みやげでイイやんか! 福岡県出身の記者はそう思いながらも、「株式会社 ひよ子」に問い合わせてみた。すると広報担当者の口からは意外な答えが……「福岡と東京、どちらのみやげ物とも言えます」マジっすか!! 

どうした、ひよ子。その身だけでなく魂まで東京に売ってしまったのか。だがしかし詳しく聞いてみると、それなりの理由があった。生まれは福岡、福岡県民に今もなお大切にしてもらっていることは確か。一方で全国に広め、より多くの人に知れわたらせてくれたのは、東京ひよ子のおかげ──というのだ。

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余談だが、漫画家のマミヤ狂四郎氏は、その昔、福岡に編集部のある小冊子に漫画を連載していたそうだ。ある時、原稿を締め切り日に間に合わせることができず、後日慌てて謝罪をしに福岡に行ったらしい。その時に手みやげとして持参したのが、なんと “ひよ子” だった。東京の名産だと思っていたそうだ。

この時の、福岡編集部のみなさん反応は言葉にするまでもないだろう。今回の結果で福岡みやげでもあり、東京みやげでもあることがわかった “ひよ子” だが、手みやげにする場合は時と場所に気をつけることをオススメするぞ。

参考リンク:ひよ子本舗吉野堂
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼Twitterでアンケートを取ってみた結果、僅差で福岡みやげという結果になったが……

▼どちらにせよ、美味しいものには罪はない。おみやげにどうぞ。

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