世界中で起こっていると考えられる万引きだが、その背景にある理由や動機は様々だ。面白半分にやってみたり、生きるために手を染めてしまったり……。

これからお伝えする万引き事件の犯人も、家族のためにスーパーマーケットから物を盗んだという。しかしそんな事情を知った店長が、犯人に対してある対応を取ったところ「素晴らしい」と話題になっているようだ。

・お腹をすかせた子供のために盗みを働いた男性

マレーシアの大型スーパーにて、31才の男性が万引きして店員に捕まった。海外メディア『The Star Online』によると、彼が盗もうとしていたのは27マレーシアドル(約741円)分のナシやリンゴなどの食料品だったそう。お金を持っていなかった彼は、お腹をすかせた3人の子供のために止むに止まれず犯行に及んだとのことだ。

店長のラドズアン・マーサンさんに事情を聞かれた男性は、「先週、妻が出産時の合併症で昏睡状態に陥ってしまいました。契約社員だった私は仕事を辞めました」と語り始めた。盗んだ動機の他、まだ妻が入院中であることや親戚の家で寝泊まりしていることなども打ち明けたのだった。

・マーサン店長が取った神対応とは?

動機を知ったマーサン店長は、彼を警察に突き出すかわりに他の対応を思いついた。二度と万引きしないように約束させると、店で彼を雇うことにしたのだ! 店長は、その時のことを「彼を見捨てることは出来ませんでした。彼の親戚の家も訪ねたのですが、貧しくて何もなかったんです」と語っている。

また23年間スーパーマーケットで働いてきたマーサン店長は、男性が万引きの常習犯ではないとすぐに分かったそうで、「貧困が原因で、彼は盗みを働いたんです」とも話しているという。

・「貧困と犯罪は切っても切れない関係」との声も

ちなみに男性の7才の子供が学校に通えるように、お金まで工面してあげたというマーサン店長。今回彼が取った一連の親切な行為を聞くと、世の中捨てたものじゃないとシミジミ感じられる。

多くのメディアがマーサン店長の対応を報じているが、中には「貧困と犯罪は切っても切れない関係。捕まえて刑務所に入れるよりも、この様な対応を取った方がいい場合も多いはず」との声も聞かれるのだった。

参照元:The Star OnlineFree Malaysia Today(英語)、Twitter @retailwire
執筆:小千谷サチ

▼店長のラドズアン・マーサンさん