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2パックやノトーリアス・B.I.G.、カニエ・ウェスト、エミネム……。いずれもヒップホップ・ミュージックの素晴らしきラッパーたちだが、この度、彼らに負けない「偉大なる新人ラッパー」が仙台の復興住宅にて誕生した。

それは昭和3年、つまり1928年生まれ、御年88才の藤沢匠子(たつこ)さん! 彼女が人生をラップにして歌い上げたデビューシングル『俺の人生』が、ものすごい出来だとジワジワと話題になっているのだ。

・東北のレーベルから誕生

震災後の東北で多様な表現を発信する「STARTohokuレーベル」からデビューした藤沢さん。2015年に仙台の復興住宅に入った藤沢さんと話したレーベルが、彼女の過去をラップにすることを思いついて生まれたのが『俺の人生』だ。

・戦争に震災。でも「どんなことだって乗り越えていける」

「青春時代は戦争だった 月謝払って弾丸つくった」という歌詞から始まる藤沢さんの半生は、戦争、駆け落ち、洪水、家族の不幸、東日本大震災とまさに波乱万丈。震災が起こって仮設住宅に入ったときも、支援物資をもらえることにさえ気づかないくらいに孤独だったという。

しかしそれでも藤沢さんはへこたれず、前を向き「どんなことだって乗り越えていける」と繰り返す。

くよくよしてても仕方がない
文句言ってもどうしようもない
なんとかなるさと自由きまま
なにくそって思えばなんとかなる
やるって言ったら絶対やる
それでダメならあばれるまでよ
そう考えればなんでもない
どんなことだって乗り越えていける(『俺の人生』より引用)

そんな彼女のラップは、聴く者の心を勇気づけてはくれないだろうか?

・現代アーティストの門脇篤さんもフューチャリング参加

ちなみに藤沢さんの MCネームは “TATSUKO★88” 。フューチャリング参加している “ラップ★インクルージョン↓” は、現代アーティストの門脇篤さんがラッパー “KOUSUKE” さんと始めたユニットだ。現在大学生の “KOUSUKE” さんだが、ユニットが出来たときはラップ未経験の高校生だったそうだ。

発表から1カ月足らずで1万回の再生数を超え、今でもジワジワと話題を集めているこの歌。胸に響く TATSUKO★88 のラップを、じっくりと聴いてみてほしい。

参照元:YouTube、STARTohoku[1][2]
執筆:小千谷サチ

▼ YouTube の動画ページに全歌詞が掲載されているよ!