Q:執事の仕事はいつが休みですか?

A:執事には基本的に休みはないのですが、この時期にお客様が日本に来ない、ご邸宅に来ないと分かっていたら、その時にまとめて休みをとることはあります。しかし土日休みなど決まった休みは、ないですね。

Q:お客様はどんな方が多いですか?

A:お客様のほとんどが大富豪の方です。そして半分が海外のお客様です。執事の年間契約は平均2000万円ぐらいかかってしまうので、どうしても富裕層の方が多くなってしまいますね。

Q:日本の富豪と海外の富豪の違いはありますか?

A:日本の富豪の方は、主人と執事という主従関係をしっかり意識して我々と接する方が多く、海外の富豪の方は、家族や友達のようにフレンドリーに我々と接する方が多いです。

Q:執事はどのように育成しているのですか?

A:私どもの会社は大きくありませんので、基本的にあまり訓練しないでいい方を採用しております。例えば元ホテルマン、元秘書、元キャビンアテンダントなどの方ですね。しかし実は1名だけ若手を現在育成しておりまして、現場でマンツーマンでいろいろと教えています。

Q:もし新井さんのもとに、これから「執事として私を訓練してください」という人が来たら、どうしますか?

A:執事になるには、素質と熱意が必要ですので、そこのところを見て判断するかと思います。執事というのはお客様を後ろからお支えするという仕事でありまして、他人を支え、その人の成功に自分の幸せを感じられるという素質が必要になってきます。

また現在育成している若手は、「給料はいらないので執事見習いとして働かせてください」という熱意のもと私のところに来ました。そういった執事という仕事への強い想いがとても大切になってきます。

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Q:今までどんな依頼がありましたか?

A:ヨーロッパのお客様から、日本のご邸宅でヨーロッパのテレビ番組がリアルタイムで見られるようにしたいというご依頼をいただいたことがあります。そこでテレビ局にあるような非常に巨大なパラボラアンテナをご邸宅の屋上に設置し、人工衛星から発せられるとても微弱な電波をとらえて、なんとかご対応することができました。しかし雨の日には電波が上手く捉えられず、番組が見られなかったですね(笑)。

また、伊豆にある別荘の敷地に温泉を作りたいというご依頼もありました。その時は温泉専門のボウリング会社にまず掘れるかどうかの調査依頼をし、最終的には温泉をご用意することができました。

そして海辺にある別荘をお持ちの方から「家の目の前に森があって海が見えないから、海が見えるように木々を切っておいてくれ」というご依頼をいただいたこともあります。敷地内にある木でしたら、いくら切っても大丈夫なのですが、人様の敷地にある木や国有地にある木は勝手に切るわけにもいきませんので、ひとつひとつ交渉して木を切っていきましたね。

ちなみにこういった依頼があった際は「予算は~円以内」という制限はなく、かかりそうな費用が分かった時点でお客様にそれでいいか一応確認をとることになっています。まあ、ほとんどの場合は予算は問題になりませんが。

Q:そのなかでも一番大変だった依頼は何ですか?

A:ヨーロッパの大富豪の方で、丸川のフーセンガムのストロベリー味が好きな方がいらっしゃったのですが、あと2時間後に成田空港からプライベートジェットで出発するという時に、そのフーセンガム1000個とカルピスウォーターのペットボトル500mlを500本用意してくれというご依頼をいただきました。

そこからありとあらゆる人に電話をかけて、協力を要請し、目に入ったすべてのコンビニやスーパーを車で回って買い集めていきました。結果的になんとか集めることができたのですが、あれは大変でしたね。

でもそんな些細なご依頼でも真剣に取り組むようにしています。もしかしたら、それは母国で待つ大切な方へのお土産かもしれませんし、どんな想いが込められているかは分かりません。だからどんな些細なことを依頼されても、全力で取り組んでいます。

インタビューの続きは次ページ(その3)へ。

Report:田代大一朗
Photo:RocketNews24.