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裁判所。“具体的事件に対して公権的に法律的裁判を下す機関” ということで、なんだか真面目で、お固く、恐ろしげな印象がある場所だ。あまり頻繁に足を運びたくない……と思ってしまう。

けれどもこの度、イギリスの裁判所に1匹のニャンコが出廷したのだとか。ええ!? 一体、ニャンコが何をやったのだろうか……。あの重い司法の扉の向こうで、ネコを巡ってどのようなやり取りがあったのかご報告したい。

・ネコが裁判所に出廷!?

今回、英チェルムスフォード・クラウン裁判所に、1匹の黒ネコが出廷した。もしかしてニャンコが、誰かに訴えられたの? あるいは訴えたり、参考人や証人として召喚されたのだろうか?

いえいえ、その理由は……被告人の気分を落ち着かせるため! なんでも、2回のストーカー行為で起訴された72才の男性エイデン・ウィルトシャー被告の「飼いネコがいないと、感情的に落ち着かない」との主張が受け入れられ、飼いネコ・テイラーの出廷が認められたというのだ。

・裁判官「被告人にとって、ネコは精神的な支え」

ということでウィルトシャー被告は、片手に杖をつき、片手にネコを入れたカートを引いて法廷に姿を現した。裁判中、ネコはカートの中から男性を見守り、男性はネコの頭を撫でたりしていたという。

ネコの出廷を認めた裁判官は、「被告にとって、ネコは精神的な支え」、「変なことかもしれないが、ネコが被告人の感情を落ち着かせ、裁判が上手くいくという資料もある」と理由を述べているのだった。また、ネコが法廷内を歩き回ることは認められず、カートの中で大人しくしていることが条件だったそうだ。

被告のためにネコの出廷を認めるなんて、話の分かる裁判官もいるものだ。そして、ネコがいると感情が落ち着くという気持ちも、なんとなく分かるのだった。

参照元:BBCEssex Chronicle(英語)コトバンク(日本語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons