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声で表現する仕事、声優。今やアイドル並みの人気を博す声優は、自分の声を様々に使い分け、アニメのキャラクターたちに命を吹き込んでいく。いわば声のマジシャンとも言える仕事である。

それでは声優の卵たちはどのようなトレーニングを積み、プロとしてデビューするのだろうか? その実態を知るべく、東京・恵比寿にある声優学校へ足を運んだ。

・驚きの演技レッスン

記者(私)が向かったのは、人気声優の柿原徹也さん、伊藤かな恵さんを輩出した大手声優学校「アミューズメントメディア総合学院」。同校では発声のトレーニングだけでなく、歌やダンスなど多角的な授業を行っているらしく、記者は演技と歌の授業を見学させてもらった。

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まず見学させてもらったのは、現場を想定した演技授業。あと少しでオーディションを控えているという2年生たちが台本を手に演技をしていたのだが、あることに驚かされた。それはキャラクターになりきり動きながら、演じていたということである。

正直声優というものは、マイクの前に立ってひたすら声のレッスンを受けるものだと思っていた。しかし実際には舞台俳優と何ら変わりなく、体全身を使った演技の勉強をしていたのだ。

講師からは声に対する指導はもちろんのこと、「表情が暗い」「演じている役の精神年齢になりきれていない」など演技に関する指導も山のようにあり、声優という仕事の奥深さを思い知らされた。

声優も演じる仕事であるということを考えれば、当たり前のトレーニングなのかもしれないが、まさかここまで表情や体の動きにこだわって演技の練習をしているとは驚きである。

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・今の時代、声優も歌って踊れなければダメ!?

次に見学させてもらったのは、歌の授業。「えっ? なんで声優が歌のレッスン?」と疑問に思うかもしれないが、近年はアニメのオープニングソングやキャラのイメージソングを歌うことが多々あり、声優としてプロになるために歌の上達は避けては通れない道らしい。

また声優のライブパフォーマンスも増えている昨今、歌だけでなくダンスの練習も必要となってきており、カリキュラムのひとつしてダンスの授業も取り入れられている。この日見学したヴォーカルレッスンでは、自分たちで考えた振り付けを披露しながら歌うというなんともハイレベルな授業が行われていた。これからの声優は、歌って踊れなければやっていけないということなのだろうか。なんとも厳しく大変な世界である。

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・大先輩声優からのアドバイス

最後に、演技授業で講師を務めていた名声優・優希比呂先生に「競争が激化する声優業界で、プロとして生き残るためには何が必要ですか?」という質問をぶつけてみた。すると以下のような答えが返ってきた。

「僕は、我に返ったらダメだと思いますね。自分はいま何をやってるんだろうとか、なんでこんなことやってるんだろうとか、そんなふうに我に返ると弱気になっていってしまいます。心のなかで “絶対にできる” と自分を盛り立てて、テンションを高く維持することが一番大切なんじゃないかなと思います。

なぜかというと、声優の世界は長くチャレンジしていかなければいけない世界だからです。一回成功したら、そこで終わりではなく、それから生き残っていくために努力を続けていかなければいけません。ですので、僕は我に返らず長く続けることが大切だと思います」

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いやはや、とても興味深い見学体験であった。声優になるために、舞台俳優さながらの演技レッスンやダンスレッスンを受けているとは思ってもいなかった。様々なことを求められる声優業界で生き残っていくには、それ相応の努力と時間を要するということなのだろう。声で命を吹き込む仕事、声優。実に奥深くて、実に魅力的な世界である。

参考リンク:AMUSEMENT MEDIA ACADEMY
Report:田代大一朗
Photo:RocketNews24.

▼声優もいろんなレッスンを積まないといけないんだなあ

▼名声優・優希比呂さんにいろんな質問をしてみた!