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カレーといえば、平らな器もしくは深めの器にルウとご飯。場合によってはトッピングがのっており、色合いとしては褐色のルウと白いご飯が一般的ではないだろうか。そんな既成概念を良い意味で裏切るカレーライスを発見した。

そのお店「レストランいづみ」は、外観からして営業しているのかどうか不安になる雰囲気。実はとんねるずの『きたなシュラン』で紹介されたことがある、年季の入ったお店だ。ここのカツカレーはルウもご飯も見えない。初めて見たら、「たしかカレーを注文したはずだけど」と戸惑ってしまうような特徴的な品だ。

・目立たない場所に

お店の場所は、都営新宿線新宿3丁目駅から徒歩約10分。駅から少し離れたところにある、三番街商店会の一角にある。新宿3丁目の繁華な通りから離れているので、どちらかといえば人通りはまばら。近所にオフィスのあるビジネスマンでなければ、お店の存在を知らないかもしれない。

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・年季の入ったお店

外観はかなり年季が入っている。ビニール製の看板は色あせていて、お店の名前が水垢で黒ずんでしまっている。外から店内の様子が見えづらく、はたして営業しているのかどうか分かりづらい。思わず入店をためらってしまう。

・覇気を感じる声

中に入ると、店主が「いらっしゃいませ!」と気持ちの入った挨拶で迎えてくれた。声はしわがれているものの、言葉には何か重さのようなものが感じられる。覇気とでも言おうか、芯のある声をしている。

メニューはいわゆる街場の洋食屋さん。ロースカツや唐揚げなどの定食、そしてカレーメニューが意外と豊富だ。私(佐藤)は迷うことなくロースカツカレー(850円)を注文。老舗洋食屋の揚げ物はハズレがないことから、これに決めた。

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・ルウもご飯も見えない

しばらく待っていると、私が頭に思い描いていたものとは違ったカレーが出てきた。カレーといえば、ルウとご飯が器のほとんどを支配しているはず。しかしここのカツカレーはルウもご飯もほとんど見えない。器の半分をカツと目玉焼きが、残りの半分をサラダが占領していたのである。それらの下にきちんとカレーが存在している。

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・仕事を通して訴えんとすること

カツは衣サクサクで、ほっこりと心が和む洋食屋の味。カレーはスタンダードな欧風カレーだ。派手さはないが、じわりと美味しさが伝わってくるような味。長年培ってきたであろう、店主の気合がこもっているようだ。味が浮ついておらず、どっしりとした安定感がある。それにしても結構なボリュームだ。見た目よりも食い応えがある。昼飯でしっかり力を蓄えたい方には良いだろう。

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食べ終えて店を出ようとしたとき、厨房から出て来ない店主がしわがれた声で「ありがとうございます!」と言った。店主は厨房から出て来ないだけでなく、客の方に目くばせさえしない。しかしあの声で「ありがとうございます!」と、繰り返し5回も言った。おそらく口数の少ない職人気質の人なのだろうが、店主が仕事を通して何を訴えんとしているかは、十分すぎるくらいに伝わってくる。

・今回紹介したお店の情報

店名 レストランいづみ
住所 東京都新宿区新宿5-11-29
営業時間 11:00~15:00、17:30~19:00 / 土・祝日11:00~14:00
定休日 日曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼見た目以上にボリュームのある、ロースカツカレー850円
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