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円谷プロの特撮『ウルトラマン』シリーズと言えば、ヒーローのウルトラマンたちもカッコイイが、登場するウルトラ怪獣たちもとっても魅力的だ。そのなかで、スター的な怪獣・星人と言えば……ゼットンやキングジョーも捨てがたいが、やはりバルタン星人であろう!

そんなバルタン星人について、気になる話を耳にしたのだ。小さい頃にウルトラマンが大好きだったという50代の男性が「確かバルタン星人の足は、異常にクサかったはず。クサい液が出ていたような……」と言い出したのである。図鑑で見た気がするとまで言うのだ。

ウソだろ、それ、マジだったら衝撃的だぞ!! 気になって夜も眠れないので調べることにした。

・バルタン星人の足は死ぬほどクサイ?

ほかにも「確かにそんな話を聞いたことがある」という40代後半が登場。やはりその人も図鑑で見た記憶があるという。

複数のシリーズに登場し、何度もウルトラマンと対峙してきたバルタン星人。さらに、近年、川崎で『怪獣酒場』の店長まで務めるほど地球侵略に熱心な彼(?)の足が異常にクサかったら、人類はたまったものではない。

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・国会図書館で調べてみた

2人とも「図鑑で見た」と言うからには、図鑑を確認するしかないだろう! でも、どの本を見たらいいのかわからない……。ならば、国内で出版されたすべての出版物が保存されている国立国会図書館に行けば、何か手がかりが得られるのではないだろうか。

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・有力な文献を発見!

早速、国会図書館で利用者登録をし、ウルトラ怪獣にまつわる文献を調査。何冊も確認したが、「バルタン星人の足はクサイ」という記述は見つからない。勘違いかよ~と諦めかけたそのとき、有力な文献を発見した! 1968年発刊の秋田書店『◆写真で見る世界シリーズ◆カラー版 怪獣ウルトラ図鑑(大伴昌司著)』が電子書籍として閲覧できることがわかったのだ!!

こ、この図鑑は……!? 最も初期に発刊された本だが、ファンの間で「聖典」とも言われる伝説の図鑑だ。言うまでもなく、信用できる一冊。また、「バルタン星人の足がクサイ」と言い出した人との年代的にも合っている。ドキドキしながら、読み進めていくと……!

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・衝撃の記述

バルタン星人のページには、バルタン星人の解剖図と共に、「バルタン肺」「テレパシー頭脳」「5000個の眼細胞からできた目」などその特徴が記載されていた。そして、足のあたりにこんな記述があったのだ。

「■無色のふしょく液 バルタン星人のあるいたあとについていてこれにさわると肉がくさる」(秋田書店『カラー版怪獣ウルトラ図鑑』1968 より引用)

こ、これのことなのか!? 図によると、ふくらはぎのあたりに腐食液入りの袋を持っているらしく、そこから血管のように管が足の裏に伸びている。歩くと、ここから腐食液が分泌するということか?

肉が腐るということは、タンパク質を溶かす溶液なのだろうか? たしかに肉が腐ったらニオイはクサイ。間違いなくクサイだろう。しかし、待て。その腐食液を分泌しているバルタン星人の足の裏は溶けないのだろうか。一体、何で出来ているんだ……!?

・やたらとハイスペックなバルタン星人

ダイレクトに「足がクサイ」とは書かれていなかったが、歩いた後をクサくしそうな液体を分泌していることはわかった。さらに、体内にいやなニオイのガスをためておく臭気ぶくろを持っていたり、くちばしから白色光線を出せたりと、何かとハイスペックな姿は、かつての少年たちに衝撃を与えたのは間違いないだろう。

さすがは宇宙最強を誇る宇宙忍者だ。今回は初動の段階で全くアテがなかったので、図書館からアプローチをしたが、『カラー版 怪獣ウルトラ図鑑』は復刻版も出ているようだ。懐かしいと思った人は、チェックしてみてはどうだろうか?

参考リンク:国立国会図書館サーチ復刊ドットコム
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼こちらは電子書籍の表紙を複写したもの。この図鑑によるとバルタン星人の足からは腐食液が分泌されるらしい。液体自体がクサイかどうかは不明だ
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