title

繁華街にいるキャッチの口車に乗って、お店に入ったら、あまり量を飲んでいないのに驚くような高額なお金を請求されてしまった! いわゆるぼったくり被害である。時折ニュースにもなるのだが、もしも短時間で数十万もの請求をされてしまったら、どうしたら良いのでしょうか。

・「ぼったくり」キャバクラって違法じゃないの?

基本的に料金設定は自由ですが、ぼったくりで問題なのは当初約束していた料金とは異なる金額を請求されることにあります。すなわち、店側が顧客に対して当初、虚偽の料金を告げていたのであれば詐欺ということになりますし、店に入る前にキャバクラ店への客引きをする行為は、各都道府県の迷惑防止条例にて禁止されているのが一般的です。


東京都の場合は、明確な料金を表示しないと、いわゆる「ぼったくり防止条例」に違反することになりますし、同条例では、乱暴な言動や暴力による料金不当取立行為も禁止されています。

・警察が動けないのには理由があった!

警察は、通常、刑事事件にならなければ動くことができません。これを「民事不介入」と言います。民事事件については、私的自治の原則の下、当事者間で自主的な解決を図ることになっているため、犯罪にあたらない場合、警察は動けないということです。

一連のぼったくり行為は、ぼったくり条例違反にあたるほか、詐欺罪、迷惑防止条例違反などといった犯罪行為となります。したがって、刑事事件として警察が介入すべき案件とも考えられるのですが、店側は巧妙な手口によって一連のぼったくり行為が無いかのように装うため、警察としては単なる民事上の料金トラブルということで介入できないケースが多いのです。具体的な巧妙な手口としては、

1. 客引きは店側の従業員ではないことにし、その客引き自身も姿を消す
2. 店内には客引きが説明した料金設定とは異なる料金表示をすることで、双方合意のうえで店内の料金表示に基づく契約を結んだことにする

などがあります。

・弁護士ならどうする?

それでは、弁護士を呼んだ場合はどうなのでしょうか。弁護士が代わりに店側と金額交渉することができるため、弁護士を目の前にして、店側は違法行為を正当化し主張を通すことは難しくなります。さらに、恐喝的な料金の取り立てや身体の拘束もされることもないでしょうし、身の安全を確保できるというメリットもありますね。

もちろん弁護士でも、プライベートでキャバクラに行った場合、ぼったくりにあうことはあります。私の知人弁護士の中に、法的に争えることを当然認識していながらも、大きな揉め事にしないために請求金額をあえて支払ったと言っている弁護士もいましたね。強がりかもしれませんが……。

・ぼったくりから逃れる方法は?

最近のお店は、非常に巧妙な手口を使っているところが多いため、絶対にぼったくりだと見破ることは困難だと思います。あえて注意すべきところを挙げますと、客引き行為自体が違法であるため、客引きをしている店はまともな店ではないと考えた方がいいですね。また、入店後は、料金表示がわかりやすく表示されているか、客引きや入り口での料金表の説明とその料金表の記載にズレがないかを確認し、問題がありそうなら、すぐにお店を出るのがいいと思います。

ただ、そこまで注意をしても、ぼったくられてしまいそうになってしまうことはあると思います。そうなった場合は、まず、本人で減額交渉をしてみましょう。それが難しかった場合、納得できる金額を置いて帰るのがいいかもしれませんね。その際には、連絡先や身分を明かす必要があるものの、ぼったくりをしているお店であれば、公の法廷で料金の正当性を立証しようとまでは思わないでしょうから、民事裁判を起こすことはないでしょう。

何度も言いますが、最近のぼったくりの手口は非常に巧妙なので、つい飲み過ぎてしまい、その場のノリでお店に入ってしまうと大変な目に遭ってしまう可能性が高いです。そうならないためにも、節度にお酒を楽しむことも大事だと思いますよ。

執筆:鈴木淳也弁護士 アディーレ法律事務所
イラスト:Rocketnews24

▼答えてくれたのは、気象予報士の資格も持つ「鈴木淳也弁護士」だ!
suzukishi
▲弁護士法人アディーレ法律事務所所属。大学時代には山に登って地質調査をするなど、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし将来について迷っていた時に「困っている人を助けなさい。自分が本当にやりたいことはそれでよいのですか?」という夢を見たことから、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。現在は全国に2名しかいない、気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログ「OH!天気ブログ」で発信している。