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出会いは突然やってくる。その瞬間は分からなくても、後から振り返って「ああ、あれこそ “運命の出会い” だったのだ」と思うような出会いは、突然やってくる。

今回は、私(筆者)の “運命の出会い” をお伝えしたい。リア充的なノロケ話でもないし、ひと夏の思い出系でもない。ただ、「人生にはこんなこともあるんだ!」と小さく、しかし深くビックリした体験談である。カナダの片田舎で、アニメ主題歌を鳴らしながら「お友達になりませんか?」と声をかけてきた外国人男性との出会いだ……。

・信号待ちでジッと見つめてくる男性が

あれは、2010年のこと。当時、私はカナダ、ニューブランズウィック州の小さな町に1カ月ほど短期滞在して、毎日ブラブラしていた。そんなある昼下がり、私はボンヤリと信号待ちをしていた。すると一緒に信号待ちをしながら、こちらをジッと見てくる20代前半と思しき白人男性が。

・男性の方からある曲が流れ始めた……

「気のせいかな」と見ないふりをしていたのだが、なおもジッと見つめてくる男性。まだ信号は変わらない。すると男性は、携帯電話をなにやら操作し始めた。

と、信号が青になった瞬間……ある曲が流れてきて、出かかった私の足は止まった。なぜなら、こんな場所で耳にするなんて想像もできないような曲だったからだ。それは……アニメ『幽☆遊☆白書』の2代目エンディングテーマ「さよなら ByeBye」

・馬渡松子さんの声に包まれる2人

もう最初の一音目を聞いた瞬間に、ゾワッと鳥肌が立ち、あの透き通ったイントロに心をギュッとつかまれた私は、音がする方へ頭を振り向けた。

そこには、携帯電話を片手に微笑む男性の姿が。どうやら曲は携帯から流れてくるようだ。見つめあう格好の私と彼の間を、「吹っ切っるはずの心に そっと横切る風は優しく……」と歌う馬渡松子さんの凛(りん)とした声が横切って行く……。

・「さよなら ByeBye」を選ぶセンス

目があった私に「ちょっとお話ししませんか?」と話しかけてくる男性。私は「ええと」と返事しながらも “な、なぜこの曲を選びやがった……!?” と動揺。なぜなら、私は、数あるアニメソングのなかでも、とりわけ「さよなら ByeBye」が大好きなのだ!

きっと彼は私が日本人だと見当をつけ、この曲を流したのだろうが、まず『幽☆遊☆白書』といえば、「微笑みの爆弾」だろう。しかし、彼はそれを選ばなかった。

・他にも神アニソンがあるのに、なぜこの一曲!?

そして、シットリとした雰囲気の傑作アニソンなら他にも星の数ほどある。『クレヨンしんちゃん』の「 月灯りふんわり落ちてくる夜」。『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の「この道わが旅」。『ドラゴンボール』の「ロマンティックあげるよ」。

他にも映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の「めぐりあい」。『少年アシベ』の「リトル・ダーリン」だって素敵だし、『スラムダンク』の「マイ フレンド」「世界が終るまでは」だって最高なはずだ!  『魔人英雄伝ワタル』の曲だっていいだろう。

なのに……なのに! なのに、この「さよなら ByeBye」を選ぶなんて……兄ちゃん、いい趣味してるやんけ! ものすっごくハイセンスだよ!! 

・逃げ出したチキン

ということで、「好きなアニソンによって、結びついた2人の縁。なんという運命!」などと話が転がれば、まさにドリーム。けれども、そうはならなかった。

当時の私はちょっとだけ「人とはあまり関わりたくない」状態だったので、聞こえなかったふりをしてその場を去るという、失礼かつチキンな対応をとってしまったのだった。足早に去っていく中、「さよなら ByeBye」は途中で聞こえなくなった……。

タイトルには便宜上 “ナンパ” と書いたが、きっと彼はアニメを熱く語り合える友人を探していたのだろう。私なら、熱く語り合えた! もっと軽く「これ、すごくいい曲だよね!」と返答するべきだったのだろう。でも私はそうしなかった……。

今でも「さよなら ByeBye」を聴くと、彼の思いをキャッチできなかったことを思い出しては、ほんの少し胸が痛むのだった。

参照元:YouTube
執筆:小千谷サチ
イラスト: マミヤ狂四郎

▼キャッチできなくてゴメン……

▼『クレヨンしんちゃん』の「 月灯りふんわり落ちてくる夜」もいい!

▼『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の「この道わが旅」には心がしんみりする

▼『ドラゴンボール』の「ロマンティックあげるよ」には今でも勇気を貰える

▼『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の「めぐりあい」も最高だ

▼『少年アシベ』の「リトル・ダーリン」にも癒される

▼『スラムダンク』の「マイ フレンド」も心が震える

▼『スラムダンク』の「世界が終るまでは」も地団太を踏みたくなるほどいい!