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タイ北部・チェンマイを旅行中。一日中歩いていたせいか腹が鳴った。タイ料理もいいけど、その日の私は「おふくろの味」を欲していた。

チェンマイといえば、バンコクに次いで日本人定住者の多い町。日本食など選び放題。選択肢がありすぎてきりがないが、折角遠くまで来たのだから、変わった店で食べてみたかった。

もちろん、変わってるだけで美味しくない店は却下。だけど、そんな都合の良いメシ屋があるのか? 調べ尽くして、たどり着いた店が今回ご紹介する『のぼる』だった! いやあ、驚きました……。

・よくあるお店っぽいけど、ここだけ別宇宙!

お堀に囲まれたチェンマイ中心部から北西に伸びるファイケウ通りを直進。巨大ショッピングモール「カードスアンケーオ」を過ぎてすぐの、地味な路地を左折した民家の軒先に、カレーやカツ丼、おにぎりの写真をあしらった小さな看板を発見。noboru1

看板の「のぼる」というひらがな表記が、体調を悪くした外国人の書いた筆記体風で味わい深い。

最近アジア各国に増殖中の「日本風居酒屋」といえば、いかにもそれっぽい手書きのPOPやメニュー。相田みつを風のポエムがセットになって、特徴があるようでない、どこも似たような印象なのだが、こちらの「のぼる」は、それらの特徴を備えつつ、首ふたつ突き抜けている。

・ボーダーライン上のドキドキする内装

まずは、店中に貼りだされたポエムやらお知らせの紙が素でイカレてる。普通のコピー用紙にマジックで殴り書き、セロテープで貼り付けただけ。意図せずして電波ハウス調になっちゃってる。noboru2

メニューも手書きだ。だがこれも日本の外食業界でよく見る「狙いすました」手書きではなく、市販のノートに(失礼ながら)小学生風の字体でざざざっと殴り書いたもの。

それもボールペンですらない鉛筆書き。初めてメニューを見たときは正直、ここでメシを食って良いものか、本気で悩んでしまった。

・料理人、ことあるごとにビールをグビグビ

メニューは定食が80バーツ(290円)から、みそラーメン60バーツ、お好み焼き50バーツなど、チェンマイの日本食業界でも最強クラスにリーズナブル。

電波ハウスっぽいたたずまいを見て、不安を感じなかったといえばウソになるが、とりあえず何品かオーダーすると、いかにも絶倫そうな日本人マスターが、いきなりグビッ、グビッ、コッコッ……と喉を鳴らしてビールを流し込み、フーッと溜息をついたと思いきや、おもむろにお好み焼きを焼き出した!noboru3

・海外年金生活者やタイ人も御用達。客層広すぎ

見てはいけないものを見てしまった気分で視線を横にずらすと、60前後とおぼしき初老の男性が、よぼよぼの老婆に「母さん……」と声かけながらメシを食っている。どう見ても観光旅行ではなさそうだ。今話題の海外年金生活者かも? 自分の未来の姿を見るようでいたたまれなくなる。

そんな中、羽根つき餃子にサンマの塩焼き定食、外カリカリ・中トロトロのお好み焼きがテーブルに登場。これが全部ウマくて感激! 酔っ払いが作ったとは思えないプロの味。こりゃ参りました!noboru5

地元のタイ人も短パン姿で食べに来る、地域密着型の落ち着くお店。気に入ったので公式ツイッターアカウントをウォッチすると「今日のチェンマイは暑いね!」といった、どうでもいい天気ネタを年間4ツイートほどつぶやき、ウォッチ二週間目にして突然アカウントが消えてしまうという、非常に男らしい展開。惚れた! 絶対また行きます!!

・今回ご紹介した店の詳細データ

店名 お好み焼 「のぼる(โนโบรุ)」
住所 Suthep Road Huaykaew Muang, Chiang Mai 50200, Thailand
時間 17:00~21:00
休日 日曜祝日

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.

▼看板を見る限りタイ人経営としか思えないが、日本人のお店
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▼色々やってるようだ
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▼三度読んでも意味が飲み込めなかった
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▼こちらは五回読んでもわからなかった
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▼「の」の下に小さく書かれた「小林」という名前が謎。
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▼びっくりしてしまうメニュー
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▼ギョーザ。羽根つきで得した気分
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▼出来たてのお好み焼き
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▼近所にあったら通っちゃいそう。疑ってゴメン!
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