osatsu

たまに道を歩いていて見つける「お金」の落とし物。1円玉や10円玉はしばしば見かけるかもしれないが、100円玉くらいになるとちょっとレア感がある。100円玉かと思いきや、ゲームセンターのメダルだったなんてこともあるだろう。

だが、100円玉よりももっとレアなのがお札だ。千円札だろうが1万円札だろうが、それだけで「道端に落ちていたお金」としては大金だといえる。見つけた瞬間、たいていの人が「えっ!?」と驚くはずだ。だが、このお札がもし、一枚ではなく数枚まとまって落ちていたら、このときのドキドキ感はハンパない。あれは一体なぜなのか。

・道端で千円札3枚を発見

あれはまだ私(筆者)が学生の頃だった。自宅から駅までの道をボケーっと歩いていたところ、少し先に何かが落ちているのが見えた。そのままボケーっと歩きながら近づいていくと、なんとそれは千円札であることがわかったのだ。

「えっ!」と驚きながらさらによく見てみると、なんと1枚ではなく3枚もある!! やんわりと二つ折りになった状態で3枚まとまって落ちていたのだ。

・ドキドキが止まらない

千円札が1枚でも驚きなのに、まさか3枚一緒に道に落ちているとは……生まれて初めて見る光景に私はドキドキし始めた。千円札が3枚ということは、つまりは3千円だ。結構な金額である。

たまにニュースで、「数千万円が庭に埋まってて家主ビックリ!!」なんて嘘のような話を耳にする。それと比べれば、3千円はたいした額ではないものの、道端にヒラリとさりげなく落ちているお金としては大金であろう。私のドキドキは、どんどん大きくなっていった。

・妄想が止まらない

3千円の方向へ向かって歩いていた私は、一歩一歩近づきながら考えた。──やはりここは交番へ届けるべきだろう。だが、もしかしたらこれは何かの罠かもしれない。1枚ならまだしも、3枚まとまって落ちているなんてことがあるだろうか。

遠目からは千円札に見えるが、実はニセモノかもしれない。もしかしたら、何かヤバいお金かもしれない。いやいや、もしかしたら拾おうとした瞬間に、夏木ゆたかさんがテッテレ~♪ と出てきて、プラカードを持って「ドッキリ大成功~!」なんてことになるのかもしれない……。

妙なドキドキを感じながら、私はあれやこれやと考えた。その間も、一歩一歩3千円に近づいていく。どうすべきか早く決断しないと間に合わないっ! 3千円はもう、すぐそこだ! 一歩近づくごとにドキドキ感も増していく!! 私の脳内はフル回転だった。

・一目散に交番へ

どうしたらよいかわからないまま3千円のところまで来てしまった私は、サッと素早く3千円を拾い上げて一目散に近くの交番へ向かった。この一連の行動は考えてやったというよりも、体が勝手に動いていたという感じだった。

そのまま通り過ぎるわけにもいかず、かと言って拾っているところを誰かに見られて、3千円を取ったと勘違いされるのも嫌だったので、とにかく交番に急いだのだ。このときも私は猛烈にドキドキしていた。幸い、夏木ゆたかさんは現われなかった。

・お札がまとまって落ちていると妙な雰囲気を漂わせる

そもそも私は何も悪いことはしていないのに、なぜあんなにもドキドキしていたのか。ハンパないくらいの心臓のバクバクはどこから来たのだろうか。

今思えば、おそらくあれは、お札が数枚まとまって落ちているという光景に妙な雰囲気を察知し、ビビってしまったのだ。そして、ドッキリだの罠だのと妄想を抱き、道端でひとりドキドキしていたのだ。あれが千円札1枚ならば、あんなにもドキドキすることはなかったと思う。落ちていたのが、たとえ5千円札や1万円札でも、1枚ならばそれほどではなかっただろう。

ほんの数枚でも、お札がまとまって道端に落ちていると、想像以上に妙な雰囲気を漂わせるのだ。そしてその雰囲気に、人はドキドキしてしまうものなのかもしれない。

執筆:むねやけサンデー
Photo: RocketNews24.

▼2枚でもドキドキだ
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