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競馬ファンでなくても常に全力疾走する競争馬の美しさは、見るものに大きな感動を与えてくれる。馬たちはレースの大小に限らず力の限りを尽くすから、いわゆるG1レース(一番大きなレース)でなくても、素晴らしい走りは数多く存在する。

今回ご紹介したいのは、1997年に行われたG2レース「神戸新聞杯」(2000メートル)である。このレースにはその後の競馬界に名をとどろかせる多くの名馬が参加していたが、勝った『マチカネフクキタル』の末脚(すえあし)は、「周りの時間が止まっているのか?」と錯覚するほど、驚異的なキレ味であった。

・マチカネフクキタルは「追い込み型」

競馬を知らない人のために簡単に説明すると、競走馬の走り方は大きく4つに分けられる。先頭をひた走る「逃げ」、その逃げの後ろにつけてチャンスを伺う「先行」、中盤から後方につけて直線勝負の「差し」、ビリあたりから一気にゴボウ抜きを目指す「追い込み」だ。

・そうそうたるメンバー

このレースでの『マチカネフクキタル』は完全に追い込みであり、先頭はその後 “最強の逃げ馬” とも呼ばれる「サイレンススズカ」がひた走っていた。その他にも、この年の有馬記念を制することになる「シルクジャスティス」がいたりと、そうそうたるメンバーである。

・先頭とは約10馬身差

レース終盤、最後の直線まで11頭中最後尾に付けるマチカネフクキタル。残り4ハロン(約800メートル)を切り、先頭のサイレンススズカとの差はおよそ10馬身。大外から一気に追い込むマチカネフクキタルだが、先頭のサイレンススズカのスピードは落ちない……。

・衝撃の末脚

全頭がサイレンススズカの後を追うが、残り1ハロン(約200メートル)でも約4馬身差はある。これまでか……! と思われた瞬間、弾丸の如くただ1頭飛び出してきたのが青い帽子のマチカネフクキタル。衝撃的な末脚は動画を確認してほしい。

・その後のマチカネフクキタル

その後、G1レース「菊花賞」を制したマチカネフクキタルだが、古馬(当時5歳以上の馬のこと。現在は4歳以上が古馬)になってからは1勝も出来ずに引退し、今は山梨県の小須田牧場で余生を過ごしている。

菊花賞馬として有名なマチカネフクキタルであるが、個人的に記憶に残るレースは今回ご紹介した「神戸新聞杯」と、この直後のレース「京都新聞杯」である。競走馬の美しさと、マチカネフクキタルの強さをご覧いただきたい。

参照元:YouTube
執筆:P.K.サンジュン

▼2:25あたり、最後の直線からが見どころだ!

▼「菊花賞」発見したが、「京都新聞杯」は発見できず……!