Breaking Bad Emilio Koyama

メキシコ国境に面した米ニューメキシコ州アルバカーキが舞台になっているため、海外ドラマ『ブレイキング・バッド』に出演する俳優は、ほぼ白人もしくはヒスパニック系である。そんななか、たった一人だけいたアジア系俳優が、浴槽で薬品を使って溶かされてしまうエミリオ・コヤマだ。

出演したのは2エピソードのみだが、シリーズで一番最初に殺された人物なうえ、海外ドラマ史上まれに見るグロい死体となった点では、注目に値するキャラクターである。そんなわけで今回は、エミリオを演じた日系俳優、ジョン・コヤマの素顔に迫ってみたい。

・超有名なスタントマンだった!

俳優としてスクリーンに登場する前は、スタントマンとして名を馳せていたジョン。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』や『トワイライト』シリーズ、『300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』といった超話題作で、スタントマン&スタントコーディネーターとして活躍している。

9歳からボクシングとカンフーを始めた彼は、『ブレイキング・バッド』のドラッグ・ディーラー役で、スタントマンとして鍛え上げた細マッチョな素晴らしい筋肉美を披露。そして、元々メキシコ系だったエミリオの役は、ジョンが配役されたことで日系の設定に書き換えられている。

・『ブレイキング・バッド』の俳優多数が『X-ファイル』出身

本シリーズのクリエイター、ヴィンス・ギリガンは、大人気SFドラマ『X-ファイル』で製作総指揮を務めていたのだが、ジョンは『X-ファイル』のエピソードにもスタントマンとしてクレジットされている。

そしてジョン以外にも、『ブレイキング・バッド』の出演俳優が数多く『X-ファイル』に出演しているのだ。そこでザザっと、どのシーズンの第何話に、どの俳優が出演しているのか以下にまとめてみた。

●ブラアン・クランストン(ウォルター・ホワイト役)-シーズン6の第2話「迷走」
●アーロン・ポール(ジェシー・ピンクマン役)-シーズン9の第5話「蝿の王」
●ディーン・ノリス(ハンク・シュレイダー役)-シーズン2の第22話「幼虫」
●レイモンド・クルス(トゥコ・サラマンカ役)-シーズン4第11話「カビ」
●ダニー・トレホ(トルトゥーガ役)-シーズン8第6話「レッドラム」

もしかしたらギリガンは、以前一緒に仕事をして印象に残っていた俳優をキャスティングした可能性もある。もし『X-ファイル』を見る機会がある人は、ぜひチェックしてみてほしい。

・エミリオの殺され方は、他の作品に影響

『ブレイキング・バッド』の全編を通して殺された人数は270人に上るが、エミリオは一番最初に殺害されて、しかも主人公ウォルターによって初めて殺された人物という点を考えたら、かなりの栄誉である。

しかも、ウォルターの相棒ジェシーが、フッ化水素酸を使ってエミリオの死体を溶かす衝撃的な方法は、他の作品にも影響を与えている。例えば、犯罪サスペンスドラマ『ブラックリスト』シーズン1の第4話「シチューメイカー」に登場する犯罪者は、化学薬品を使って遺体をシチューのようにドロドロに溶かすのだ。

このほかにも何のドラマだったか覚えていないが、遺体の始末に困った時に「ブレイキング・バッドみたいに薬品で溶かすのはどうだ!?」というセリフまで飛び出していた作品まであった。

・実際に人気科学実験番組『怪しい伝説』が検証!!

フッ化水素酸によって、エミリオの遺体と共に溶けてしまった浴槽と2階の床が抜けるシーンは、筆者が一番好きなシーンである。血や内臓が飛び散るホラーが苦手なクセに、まさかの展開にド肝を抜かれてしまった筆者は、シーズン1第2話にして『ブレイキング・バッド』が歴史に残る傑作になる予感を感じていた。

そして、この名場面が実現可能なのかどうか、実際に試したツワモノがいる。米人気科学実験番組『怪しい伝説』が、ブタの死体をフッ化水素酸で溶かして検証したのだ。その結果、死体は溶けたものの、浴槽と床は抜けなかったことが判明している。

ドラマ史上に残る名死体となったジョンの最新作は、映画『マン・オブ・スティール』の続編『Batman v Superman: Dawn of Justice』。バットマンとスーパーマンが対決するメガ・スケールのアクションヒーロー映画で、スタントマンとして出演するジョンの今後の活躍に期待したい。

参照元:IMDb[1][2]Breaking Bad WikiTHAT ERIC ALPER(英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

▼エミリオの死体が、2階の底を突き破って落っこちてくる衝撃のシーンはこちら

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編はこちら

▼ぬりえもあるよ!
Breaking Bad Emilio Koyama-nurie