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人類火星移住計画『マーズワン』。火星に着いても地球に帰ってくる手立てが用意されていないことなどから、「無謀なのでは?」とか「自殺行為だ」と言われつつも、今日も世界中の人々の興味をひきつける。

2025年から人類の火星移住生活を開始するとしている『マーズワン』だが、ひと足お先に “あるもの” を火星に向かわせることを発表した。それが……植物なのだ! 

・2018年に火星で無人ミッションを開始

2025年の本格移住に先駆け、2018年に火星での無人ミッションを予定している『マーズワン』。その際、デモ用無人着陸船の一部を研究プロジェクト用に開放し、火星で試してみたいアイディアを世界中の大学から募集してきたのだ。科学実験、技術実証など、火星で行うに値する面白い案なら幅広く受け付けるとしていた。

「尿を水にリサイクルする」、「火星の気候を調べる」など、ユニークなアイディアが世界中から寄せられた結果、投票によって「火星で植物を育てる」という研究プロジェクトが選ばれたのである。

・火星で植物を育てよう!

このアイディアを発表したのは、ポルトガル、スペイン、オランダの学生による合同チーム「Seed」。植物の種を張り付けたフィルターを容器に入れ、火星に到着してから熱や成長培地を作動させることで、種の発芽・成長を促すというのが彼らの案だ。ネット上では “小さな温室” と形容されている。成長過程は写真や画像などを通じて、地球からモニターする予定だ。

そして「Seed」が火星に送る予定なのが、シロイヌナズナの種である。種子が多数で、遺伝子の数は少なく、栽培が容易などといった好条件から、モデル生物として有名な植物だ。国際宇宙ステーションでも、栽培実験として使用されていたのだとか。

・次の3年が勝負 「Seed」がダメなら2位、3位チームのアイディアへ

『マーズワン』は、“火星で暮らす人間の食べ物は、できるかぎり火星で自給自足する” という方針なので、この植物栽培実験も大きな助けとなることだろう。しかし、2018年までに「Seed」の案が実現不可能だと判明した場合は、代わりに投票2位、3位のチームの案が採用されることになるという。

ちなみに2位は、“火星の大気の95%を占める二酸化炭素の一部を、シアノバクテリアの力で酸素に変換させる” アイディアを提案したドイツの「Cyano Knights」。3位は、“火星でレタスを育てる” というイギリスの「Mars Micro-Greenhouse」だ。

人類が火星生活を開始するまで残り10年ほどとなった『マーズワン』だが、実現に向けて今後どのように計画を進めていくのだろうか? 追ってお伝えしたい。

参照元:Space.comYouTube、Mars One [1][2][3](英語) 静岡大学理学部
執筆:小千谷サチ

▼これが2018年に火星に行く予定の「シロイヌナズナ」だ!

▼投票で選ばれた「Seed」

▼2018年の無人ミッションで使用される着陸機

▼ご存知『マーズワン』計画