696

日本全国には、行政や企業のゆるキャラが無数に存在する。その数は1000体以上とも言われており、そのすべてが思うように活動できている訳ではない。

元々は人を楽しませるために活動を始めたはずなのだが、理想と現実のギャップに苛(さいな)まれてしまうキャラもいるらしい。その実情を、東京・板橋区を拠点に悪キャラとして活動する「骸696(むくろ)」がTwitter で暴露しているのだ。どうやら無名のゆるキャラ・ご当地キャラの抱える闇は相当深いらしい……

・骸696のTwitter の投稿

「ご当地の悪キャラたちよりご当地キャラたちの方が心に深ぇけ邪悪な闇を持ってるんじゃねぇのかって最近肌で実感してるわ」(骸696、Twitter より引用)

・邪悪な闇

これは一体どういうことなのだろうか? イベント会場ではファンに囲まれて、愛嬌よく立ち振る舞っているように見えるのだが、骸696が実感するほど邪悪な闇を抱えているとは!? 実際、どのようにその闇を感じているのか、骸696に尋ねてみたところ、以下のような回答を得ることができた。

・ゆるキャラの抱える闇について、骸696のコメント

「多くのキャラと接点がある訳じゃないから、一概には言えねえけど、ざっくり言えば、個々でキャラを始めたときの志や野望があったと思うんだよ。それが実際に現場に行くと、扱いやニーズのギャップを目の当たりにしてしまって、キャラとしてのジレンマを抱えることになっちまうんだ。そのジレンマをSNS とかでぼやいたり、現場でも哀愁以上の何かを漂わせているヤツがいるんだよ」

「俺みたいな悪キャラは何でも言いたいことを言えるからいいんだけど、キャラ的に言いたいことを吐き出せず、中にはしゃべれないヤツもいるだろ。しかも行政や企業のバックアップもなく、個人でやってるヤツは全部自前。スタッフもアテンドも居ない場合が大半で、下手したら地下アイドルや無名の芸人以上に、抱えてる闇がすくすくと育っちまう訳だ」

・こんなはずじゃなかった?

現場での扱いの違いは、イベント会場に行くと察することができる。個人でやっていれば、「こんなはずじゃなかった」と感じるキャラが居ても不思議ではないだろう。あるゆるキャラ関係に詳しい人物は、無名のゆるキャラが抱える闇について、こう指摘している。

・ゆるキャラに詳しい人物のコメント

「人を楽しませることが役割である以上、表現できない感情もありますよね。たとえば「怒り」や「悲しみ」をあらわにすることができない。まあアイドルでも芸人でも同じですが、ゆるキャラに求められているのは、パフォーマンスではなく存在感なので、情緒の一切を押し殺していると言っても良いかもしれません。しゃべれないキャラもいるので、不満を吐露する場所がなく、心の闇を抱えてしまうケースも考えられます」

・活動継続できるのか?

たしかにキャラに徹するということは、人間的な情緒を押し殺す必要があるのかもしれない。ゆるキャラやご当地キャラを継続するのは大変なことではないだろうか。大きな後ろ盾があれば良いのだが、恵まれた状況で活動できるのはごくわずか。最近はいくぶんゆるキャラブームも下火になりつつあるなかで、2015年はどれだけのキャラが生き残っていくのだろうか。気になるところである。

参照元:Twitter @MUKURO_DSL
執筆:佐藤英典