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あなたは「ヤヌス猫」という存在をご存知だろうか? 先天性疾患のため2つの顔を持つ猫で、見慣れていなければちょ〜っとビックリしてしまう風貌をしているのだ。

しかし、顔が2つだろうがやはり猫。人間に愛おしい気持ちを抱かせることには変わりない。先日、そんな「ヤヌス猫」のなかで最長寿として記録された猫が、15年の生涯に幕を閉じた。「お疲れ様でした」という気持ちを込めて、この猫のことをお伝えしたい。

・「ヤヌス猫」の最長寿としてギネス記録

米マサチューセッツ州のマーサ・スティーヴンスさんの元で暮らしていた「ヤヌス猫」のフランクとルイ。2匹分の名前が付けられている通り、1つの体に、顔が2つある猫だ。鼻と口は2匹分だが、脳は1匹分だという。ちなみに性別はオス。

「ヤヌス猫」の平均寿命は、数日から数週間と、とっても短いのだが、なんとフランクとルイは15年間も生きることができたのだ! 3年前には「ヤヌス猫の最長寿」としてギネスにも認定されている。

・2014年12月4日に息を引き取る

しかし、フランクとルイは、2014年11月下旬から元気がなかった。元動物看護士の飼い主のスティーヴンスさんは、彼らに点滴を施しながら様子を見ていたのだが、12月4日に体調が急変する。

すぐに動物病院に向かったところ、フランクとルイの体がガンに侵されていることが判明。「今後、とっても苦しむことになる」との獣医師の言葉に背中を押され、スティーヴンスさんは安楽死を選択したのだった……。

・15年前に、「育ててみたい」と名乗りを上げたスティーヴンスさん

スティーヴンスさんがこの猫と出会ったのは、1999年9月のこと。当時彼女が働いていた動物病院に、生まれたばかりのフランクとルイが連れてこられたのだ。

他の「ヤヌス猫」同様、長く生きないだろうと思った獣医師が、彼らに安楽死を施そうとしたところ、スティーヴンスさんが「私が育ててみます!」と名乗りを上げたのである。「育たないかもしれない……」と、覚悟した上での申し出だが、その後すくすくと育ったフランクとルイは、15年も生きてくれたのだった。

・奇形が原因で栄養がとれず、長生きができない「ヤヌス猫」

「ヤヌス猫」の短命な理由は、口蓋(こうがい)破裂症などの奇形が原因で、十分な栄養が得られないからだという。しかし、スティーヴンスさんによれば、チューブを使って栄養を与えるなど工夫すれば、十分に長生きすることも可能とのこと。

もし「ヤヌス猫」に再び巡り会うことができたら、ぜひお世話をしたいと彼女は話している。

「ヤヌス猫」のちょっと変わった風貌に、ビックリする人もいるだろう。私(筆者)も最初見たときに、少しドキッとしてしまった……。しかし、ちょっと変わったお顔しているだけで、1匹の愛しい猫に変わりはない。フランクとルイ、お疲れ様でした!

参照元:Telegram.com、You Tube[1][2](英語)
執筆:小千谷サチ

▼フランクとルイの訃報を伝えたニュース動画

▼フランクとルイ、この部分で結合しているんだね
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▼飼い主のスティーヴンスさん
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▼3年前に「ヤヌス猫最長寿」としてギネス認定された際のニュース