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人は誰でも、年齢よりも自分のことを若く見積もっていると思う。「気持ちは若い」という言葉があるように、いつまでも若い気でいる。しかし実際はそんなことない訳で、確実に時間は経過しており、すべての人がオッサンやオバサンになっていくのだ。

私(佐藤)は先日41歳になり、かねてから気になっていた検査を受けることにした。それは精子検査である。この検査を今まで一度たりとも受ける気持ちになることはなかったのだが、古い友人の実情を知り、他人ごとではない気がしたのである。男性諸君は無関係と思わず読んで頂きたい。特に30~40代以降の皆さん。

・バイタリティあふれる男

大阪にいる私の古い友人は、若き日から我が道を行く男で、守りという言葉とは無縁の人生を歩んできた。ある歳から、酒もタバコもやめて肉体改造をはじめ、トライアスロンに参加するほどバイタリティあふれる生活を送っていた。

・死んでるヤツ4匹

私から見れば、彼は精力的であり、相当な子種を生産するに違いないだろうと思っていた。ところが、彼は種が薄かったのだ。いつしか病院にかかるようになり、ある時に検査の結果を私に聞かせたのだ。「死んどるヤツが4匹やった」。……は? 詳しい知識はないものの、相場は1億匹とか言われる。それなのに4匹とは、どういうことだ?

・大規模工場のはずがストライキ

彼は再び検査を受けたが、結果については「生きとるヤツが7匹やった」と言っていた。そ、そんなに変わっていない……。とにかく彼は極薄なのである。幸いにして男児を授かることができたのだが、この話を聞いたとき、私はこう思ったのだ。

『絶対に大規模工場で無限に生産していると思っていたあの男が、あの男の工場が……ずっとストライキ状態にあるとは!?』

これは他人ごとではない。私も40歳を超えた以上、自らの工場の生産能力を過信してはいけない。そう思い、早速検査に行くことにした。

・当日結果がわかる

検査をお願いしたのは、都内にある専門病院。検査結果は、当日のうちに教えてくれるという。あいにく、最初に電話した時には予約でいっぱいだったのだが、その翌日は空いてるとのことだったので、15時の時間帯で予約した。

・お互いに見て見ぬフリ

病院はとある建物の10階にあり、院内は広いとは言えない。受付に入ると、すでに同じ時間帯の来客がふたりほど。なんだかお互いに気まずくて、見て見ぬフリをしてしまう。そして私は、心で思った。「あなたも自分の工場に不安があるんですね。少しだけ気持ちわかりますよ。まさかストライキではないだろうと思いたいですよね」と。

・最初にアンケート

受付を済ますと、最初に手渡されたアンケートに答えなければならない。身長や体重など、自らの身体について記入する。そして家族構成、既婚している家族に子どもがいるかどうか。なお、既婚者の場合は夫婦生活について答えることになる。このアンケートは「答えられる範囲で結構です」とのことだった。

・受付は美人女性で気まずい

余談だが、受付担当の女性がかなり美人で焦った。一方的に委縮してしまったが、よく考えたらこちらは客である。何をビクビクする必要があるかと思ったが、やっぱりちょっと気まずい……。

・清潔なネットカフェのよう

さて、アンケートが終わると、採取室へと案内される。ちなみに今回、私は基本検査を受けるだけだったので、事前に医師の問診を受ける必要はなかった。採取室はビックリするほど狭い。推定2畳に、ベンチ型の椅子があるだけだ。ネットカフェの1室をイメージしてもらっても差し支えないだろう。だが、ネットカフェと違ってかなり清潔。汚れと思われるものは、床にも壁にもまったくない。毎回消毒しているとのことである。

・防音で鍵つき

部屋に入る前に、プラスチックの容器を渡され、この中に採取するように言われる。容器は滅菌されており、ビニール袋に入れられている。部屋にはDVDプレイヤーと空気洗浄器があるだけで、ほかには何もない。壁は防音で、内側から鍵を閉めることができる。これで集中できるという訳である。

・隣の採取室からドン! ドン!

部屋には3枚のDVDが用意されているのだが、これが好みに合うかどうかが最大の問題だ。勝手な評価としては……悪くないが良くもないと言ったところか。私は集中して、何とか採取に成功。

途中、隣の採取室で「ドンドン」と激しい音がして少しビックリした。一体どうしたら「ドンドン」と激しい音がするか不思議でしょうがなかったのだが、まあ、とにかくそういう人なんだろう……。

・映像を持ち帰ることができる

検査の結果は、採取からおおむね2時間後に判明する。ここの病院では、検査結果の映像をDVDで持ち帰ることが可能とのことなので、工場から生産された製品の活動具合が一目でわかる。はたして私の工場から生産された製品は、活きが良いのか悪いのか……。続きは後編でお伝えしたいと思う。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼部屋へネットカフェの1室のように狭い。だが、とても清潔
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▼内側から鍵がかけられる。狭すぎて、扉を閉めるのに一苦労
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▼空気清浄器があるので、匂いもまったくない
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▼部屋が寒かったので、足元ようのヒーターを用意してもらった
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▼このDVDプレイヤーで、用意されたDVD(3枚)を見る。操作性が悪くてちょっとイライラした
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▼簡素な棚
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▼滅菌されたプラスチック容器
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▼これに採取する
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