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たびたび話題になるのが「漫画におけるトレース問題」である。ようは何かの写真や絵を “下に敷いて描き写したんじゃないか?” 的な疑惑である。別にいいじゃねえかそんくらい……と私(筆者)は思うのだが、あまり褒められた行為ではない。

写真ならまだしも、他の漫画家が描いた漫画のコマだったりしたら最悪だ。漫画家の風上にも置けない行為と言えよう。だが、あろうことか巨匠さいとう・たかを先生の『ゴルゴ13』をトレースし、長編漫画を描いてしまった外道すぎる漫画家が存在する。

……許せない。さいとう・たかをファンとして絶対に許せない! 喝だ!! ということで、その外道漫画家を東京は中野にある「さいとう・プロダクション」に強制連行し、さいとう・たかを先生に向かって「ごめんなさい!」と頭を下げさせてみた!!

・2コマほどトレースしてしまった

プロの漫画家として越えてはならない一線を、いともアッサリとまたいでしまった漫画家の名前は……毎度おなじみマミヤ狂四郎だ。彼は今から7年前の2007年に発売された『乱世のサバイバル教典(太田出版)』にて、さいとう・たかを先生の『ゴルゴ13(リイド社)』に載っていたコマを2コマほどトレースしてしまったという。
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マミヤ「どうしてもM16がうまく描けなくて……時間もなくて……ついつい手元にあったゴルゴ13の第113巻「殺人マニュアル」の49ページ目、そして50ページ目に載っていた2コマをトレースしてしまいました。本当にごめんなさい!

私の描いたコマを、さいとう・たかを先生が見たら一発で分かるはず……。いつ、さいとう・プロダクションに訴えられるのかと、7年間ずっとビクビクしながら暮らしていました。7年前の私は、ゴルゴ13にヘッドショットされてもおかしくないレベルの重罪を犯してしまったのです! あぁ、早く謝って懺悔したい!!」

──と、涙ながらに後悔の念を語っているので、ゴルゴ13の発刊元・リイド社の担当さんと一緒に問題のコマを確認したのだが、「トレースしてコレですか!? あまりにもヘタすぎるんで絶対にバレないですよコレ」と言われていた。よかったよかった……。
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そんな違う意味で泣ける話は置いておいて、いよいよ さいとう先生とご対面! まず、オーラがハンパない。もしも、さいとう先生に「キミ、もう漫画家やめなさい」と言われたら「ハイッ、よろこんで!!」っと敬礼してしまうレベルの存在感&威圧感だ。これがレジェンド漫画家の “気” なのか……。オラ、バクバクしてきた! 心臓が。
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・いよいよダイレクト謝罪

さいとう・たかを先生の横には、M16を手にした等身大のゴルゴ13像が置かれている。ソファに深く座りながらタバコをくゆらす さいとう先生に、いきなりマミヤ狂四郎は本題を切り出した。すでに汗ダラダラ&ボタボタで、ズボンは水玉模様になっている。

マミヤ「あっ、あのっ、あっ、ああっ、ああっ……あの、わたくし、過去に、7年前に出たサッ、サバイッ、サバイバル教典のぉッ……こっ、このコマをををっ! んをぉッ! さいとう先生のゴルッ……ゴルゴ13のッ……んんんっ! トッ、トレース……!! してしまいましてぇぇ〜! す、すみませんんっっ!!(ペコリ)」

──と、緊張のあまりドモりまくりのスクラッチingで平謝りしつつ、実際に『乱世のサバイバル教典』と『ゴルゴ13(第113巻)』をテーブルに並べ、トレースの決定的証拠を さいとう先生に見せてみた。すると……な、なんと……!!

さいとう・たかを先生「……はい。わかりました。問題、ありません」

と、アッサリ許してくれたのだ!! なんという神! ゴッド!! さすがレジェンド、心が広い!! ちなみに、さいとう先生のトレースにおけるスタンスは、「何かを参考にするのは悪いことじゃない。私だって銃とか描くとき参考にしますし」てな感じだった。
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しかしながら、「私の漫画を参考にしてもいいけど、ゴルゴ13の顔をマネするのはダメだよ。権利的なものがあるからね」と、優しく“越えてはならない一線” を教えてくれつつ、「コピーは絵が平べったくなるからダメだ。つまらないコマになる」とのこと。コピーばかり使う漫画家マミヤ狂四郎にとっては心苦しい教えである。

さらに、さいとう先生は問題の漫画をそのまま読み進めてくれて、「これはギャグだな。ギャグ漫画には、ついていけん」と一刀両断。内心 “ギャグ漫画じゃないんだけど……” と思いつつも、憧れの大先生に自らの漫画を見てもらったことに感動しまくりのマミヤ狂四郎なのであった。ありがとう、さいとう・たかを先生&リイド社!!
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・リイド社創立40周年記念サイトで電子書籍を無料配信!

ちなみに、さいとう・たかを先生の『ゴルゴ13』や『鬼平犯科帳』などを出しているリイド社は、今年で設立40周年! まさに昨日10月26日に開設された「リイド社創立40周年記念サイト」では、抽選で1万円が当たる総額40万円クイズキャンペーンなんてのもやってるぞ! 

さらにリイド社がほこる数々の時代劇漫画の電子書籍を月替わりで無料配信! これを機会に、今まで見てこなかったリイド社の時代劇漫画を読んでみるのも良いかもしれない。無料のうちに要チェックだ!!

参考リンク:リイド社創立40周年サイト
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

▼ここが『ゴルゴ13』や『鬼平犯科帳』が生まれるさいとう・プロダクションだ!
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▼やや緊張気味のマミヤ狂四郎氏
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▼応接室にはゴルゴ13が……
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▼さいとう・たかを先生(77)がロケットニュース24に出てくれるなんて……!!
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▼『乱世のサバイバル教典』を食い入る様に見つめる さいとう先生!
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▼マミヤ「わたくしがトレースしてしまったコマは……(パラパラパラ)」
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▼マミヤ「こ、こ、こっ……ここであります!(ガクガクブルブル)」
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▼この汗!! 極限の緊張感!
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▼さいとう先生「はい、わかりました。問題ありませんよ」 マミヤ「!!」
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▼じっくり読んでくれた さいとう先生! 共著のクーロン黒沢氏も感無量であろう!!
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▼その後も、さいとう先生はいろいろな話をしてくれました!
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▼おじいちゃんと孫状態
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▼あまりの感動にマミヤ半泣き
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ゴルゴ13が好きでよかった!
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▼リイド社の無料配信マンガはリイド社創立40周年サイトで要チェック!!
LEED©さいとう・たかを