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一般的に「人間の三大欲」は、『食欲・性欲・睡眠欲』であると言われている。人によって強弱はあると思うが、私(筆者)が約1カ月半の “軟禁生活中” に「睡眠欲>>食欲>>>>>>>>>>>性欲」だと身をもって体験したときの話をしたい。

・テレビ番組の企画に参加したときのこと

今から約12年前、25歳の頃の話だ。ひょんなことから私は「電波少年的 放送作家トキワ荘」という番組に出演することになった。伝説のバラエティ「電波少年」の流れを組む番組のオーディションに、運よく合格したのであった。

ルールを簡単に説明すると、1ルームの部屋で男性5~6名が共同生活を送りながら、週に2回「放送作家の鬼」と呼ばれるプロフェッショナルに番組企画を提出する、というものだ。もちろん外出は許されない。ただひたすら部屋にこもり企画を考え続けるのだ。

・全然食べられなかった

特徴的だったのが食事方法であった。食事の1時間前になるとスタッフからお題が与えられ、ダジャレを披露する。○なら定食、△ならパンの耳6本、×なら無し。定食を食べられるのはせいぜい2日に1回で、あとはパンの耳6本か、部屋にあったサプリメントで空腹を凌いでいた。

当然、見る見るうちに体重は減っていく。結果的に私は1カ月半で約8キロ痩せた。運動などほぼできなかったので、食べなかっただけで8キロである。こうなると番組の企画を考えるどころではない。頭の中は常に、「ここを出たら何を食べよう?」ということばかりであった。だがしかし……。

・どれだけ空腹でも人間は眠れる

頭の中はいつも食べ物のことでいっぱいであったが、どんなに空腹でも人間は寝る。というか、ちゃんと眠れる。空腹すぎて起きてしまうこともあったが、いつの間にか寝ている。そう、このとき食欲より睡眠欲の方が強いことを、この身で実感したのだ。

性欲はさらに後の後の後の後の後の話だ。健康的でエネルギッシュな25歳であったが、1カ月半の間、欲情したことは1度もなかった……。たったの1度もだ。おそらく性欲は、食欲と睡眠欲の両方が満たされて初めて湧き上がってくるものであると思う。

・性欲の位置づけ

つまり性欲を、食欲・睡眠欲と並列で扱うのはおかしい気がする。『グー・チョキ・パー』のようにいつでも繰り出せるものではなく『ホップ・ステップ・ジャンプ』なのだ。寝て(ホップ)食って(ステップ)初めて性欲(ジャンプ)が出てくると、私は1カ月半の軟禁生活で学んだ。

もし「性欲が強すぎて困っている」という人がいたら、とにかく何も食べずに、そして眠らずにいるとよいだろう。おそらく、それどころではなくなってくるハズだ。ただし、それで健康に支障をきたしても責任は取れない。

逆にいえば、性欲が適度にあるということは、睡眠欲も食欲もそれなりに満たされている、ということになる。「性欲がない!」という人は、とりあえず “食っちゃ寝” してみよう。牛になっても知らないが。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.