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デビューから25年を経て、衰えるどころかますます輝きを増しているロックバンド、人間椅子。2014年6月25日に新譜『無頼豊饒』をリリースし、8月20日から全国10カ所のリリースツアーを敢行。ツアー前日に放映されたニコニコ生放送「人間椅子 25周年記念 厳選映像」では、2万人を超える来場者数を記録し、若いネットユーザーは彼らの実力に驚嘆していた。

そうして迎えた9月20日、東京・恵比寿のリキッドルームでツアーのファイナルが行われたのである。この日のチケットはツアー発表の直後に完売しており、当日は超満員となった。そして、全国でライブを行ってきたメンバーはアルバムに対する強い手ごたえを感じており、卓抜した演奏を炸裂。さらには2015年1月の渋谷公会堂公演というサプライズ告知でファンを歓喜させたのである。

・いつにない良好なコンディション

この日のライブにおいてメンバーは、普段にも増してコンディションが良かったようだ。特にギターボーカルの和嶋慎治氏は、普段であればライブの終盤に見せる、背中や歯でギターを弾きパフォーマンスを、早くも4曲目で披露した。長年連れ添うベースボーカルの鈴木研一氏によると、和嶋氏は演奏がうまく行くと満面の笑みを浮かべるそうである。この日は早々とそのご満悦を鈴木氏に見せたそうである。

・圧倒的な音圧

実際に彼らの演奏は、いつもよりもさらに厚みと重さを増して、なおかつ研ぎ澄まされている印象を受けた。新譜からの楽曲もさることながら、旧譜から選んだプログレッシブな楽曲『幻色の孤島』や、彼らの真骨頂であるオドロオドロしいナンバーの『太陽黒点』などは、その圧倒的な音圧とテクニックで観客を圧倒し続けていたのである。観客はその途方もない音圧に酔いしれているようであった。

・研ぎ澄まされた音

円熟味という言葉がある。これは、その言葉が指し示す通りに、豊かに満ちた状態を指し示しているのだが、25周年を迎えた彼らのパフォーマンスは、まるで円熟味とは程遠い印象を受けるものがある。まろやかではない、豊かではあるが丸みを帯びていない。まるで今一度生まれ変わったかのような、エッジのきいたソリッドな音なのである。心の奥底、魂の輪郭を揺さぶるような研ぎ澄まされた音だ。

・ステージが小さく見える

彼ら自身が「再デビューをはたした気分」と、今の状況を説明しているのだが、その言葉がまったくふさわしい。25年という長き月日を経て、あらゆる無駄がそぎ落とされたようなギラギラとした躍動を感じるのだ。特に今年になってステージを重ねて行く度に、そのステージが段々と小さく見えてしまう。それはとりもなおさず、彼らの存在感が大きくなっているからではないだろうか。

・20年で返り咲き

来年1月24日には渋谷公会堂でライブを行うことになる。その時もきっと、ステージを凌駕する存在感を披露するに違いないだろう。彼らは1990年に一度、渋公のステージを踏んでいる。再び返り咲くのに20年を要したのだが、その当時では発揮できなかった凄まじいライブパフォーマンスを炸裂させるに違いないだろう。

そして12月3日には2枚組の『現世(うつしよ)は夢~25周年記念ベストアルバム~』をリリースする予定だ。そのなかに詰め込まれる音は、25年を凝縮したものになることだろう。改めて疾走感を増した彼らの活躍に注目が集まりそうだ。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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▼実はこの日は、ドラムのナカジマノブ氏の誕生日だった
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▼ケーキにはふんどし姿のナカジマ氏が描かれている。食い辛いケーキだ……
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▼三人の姿がなんだか微笑ましい
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