働き盛りのお父さんはいつも腹が減っている。でも、あまりフトコロ具合は芳しいとは言えない。そんなとき、たらふく食わしてくれるお店は、救世主といっても良いだろう。格安で大盛りメニューを提供してくれるお店は、言葉の通り救い主であり、オアシスでもある。
東京・新橋にはそんなお父さんたちを長年救い続けている洋食店が存在した。創業明治18年、現在もバリバリ営業を続けている老舗「むさしや」は、まさにお父さんたちを影で支え続けているお店である。昼時になると、店頭には長い行列が。それもそのはずだ、おいしい品々を格安大盛りで提供しているのだから。しかもおいしい! こんなの毎日食いたいに決まってる!!
・ランチ激戦区
お店はJR新橋駅烏森口を出てすぐ。飲食点店が軒を連ねるニュー新橋ビルの1階にある。この建物には安くておいしいお店が数多く存在している。ランチ激戦区といっても良いだろう。そこでピーク時に行列ができるのだから、むさしやは真の実力洋食店なのである。
・カウンター7席のみ
行列ができるのには、おいしさだけではないもうひとつの理由がある。それは席数が少ないためだ。カウンターのみ7席しかないため、店前に行列ができてしまう。お昼には、このカウンターが軽く4~5回転しているから驚きである。お店の名物のオムライスやナポリタンをたらふく頬張り、お父さんたちは次の仕事へと急いで行く。
・事前に注文、着座ですぐ食える
お店では、着座する前にオーダーを聞いてくれる。立って待っている間に、「何にしますか?」と尋ねられて、事前注文。順次席が空き、自分の番になると「ナポリ(ナポリタンの略称)の方」と言った具合に席へと誘導してくれるのだ。そのときすでにオーダーしたメニューは完成しており、着座と同時に食べ始められるようになっている。怒濤のランチ時間をスムーズにこなして行くために、店で培われた知恵ではないだろうか。
・麺に埋もれる野菜たち
さて、オーダーしたナポリタンに遭遇し、その量の多さに驚いた。軽く300グラム超はありそうだ。具材にはピーマン・玉ねぎ・ベーコンが入っているそうなのだが、器から溢れんばかりの麺のなかに埋もれてしまっている。しかもケチャップの赤一色に彩られて、ピーマンの緑色が見えない。ほんのりと焦げたケチャップの香りが食欲をそそる。
・パスタではない! スパゲッティだ!!
一口食べると、懐かしさが溢れている。子どもの頃に自宅で食べた母親の作るナポリタンの味。これはパスタではない、スパゲッティだ。上品にスプーンのうえでフォークをクルクルと回す代物ではないのである。焼きそばを箸で食らうがごとく、ズルズルとフォークで口の中に放り込むのである。口の周りはケチャップで真っ赤。勢いをつけて食べるに限る!
今回はナポリタンをオーダーしたのだが、ギリギリまでオムライスにしようか、ドライカレーにしようか、ハンバーグカレーにしようか、真剣に悩んだ。近年まれに見るくらい、激しく悩んだ。むさしや未経験の方は、あらかじめ予習をして、メニューを決めておいた方が良いだろう。
・今回訪問した店舗の情報
店名:むさしや
住所:東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル 1F
営業時間:月~金曜日10:30~19:00、土曜日10:30~16:00
定休日:日祝
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼普通盛りのナポリタンでもかなりの量。軽い気持ちで大盛りを頼まないように。ナポリタン650円
▼これに大量に粉チーズをかけるのが、常連の皆さんに食べ方
▼ほのかに香るケチャップの匂いだけでご飯が食べられそう。口中に唾液があふれる
▼昼時は確実に行列だ