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2014年の甲子園も9日目が終了。49校の頂点を目指す戦いが続いているが、ここまで注目を集めた選手といえば、なんといっても東海大四(南北海道)の西嶋亮太投手だろう。そう、連日取り上げられている「超スローボール」を投じた投手である。

元フジテレビアナウンサーの岩佐徹氏が Twitter で「世の中をなめた少年になっていきそうな気がする」などと発言し炎上すると、メジャーリーガーのダルビッシュ有投手は持論を展開……と昨年の「カット打法」を思い出すほどひと騒動になった。

・西嶋投手の超スローボール

試合やハイライトを見た人であればすでに知っているだろうが、西嶋投手の超スローボールはテレビ画面からはみ出すほどの山なりのもの。スピードガンで球速を測定することができないくらい “遅い” ボールで相手打者のタイミングを崩すのが特徴だ。

もちろん、このボールをコントロールしてキャッチャーミットへ投げ込むことは難しい。168センチと小柄な彼が緩急をつけて相手を抑えるために習得した技……いわば「高校生離れした投球術」であったのだが……。

・大論争に発展した超スローボール

8月14日の九国大付(福岡)との試合で西嶋投手が実際に投じると岩佐徹氏の発言から大論争を巻き起こすことになってしまう。その「投球術」を褒める声が多く見られる一方で、相手打者を「なめた投球」と表現したことで炎上する事態となったのだった。

・ダルビッシュ投手の発言

そんな中、光ったのはダルビッシュ投手の発言。高校時代に甲子園のマウンドに立った彼は、Twitter で次のようにコメントしている。

大体賛否あることがおかしい。ボールを切って投げてるわけじゃあるまいし。どんなボールを投げたっていいでしょう。

まさにその通り。そもそも議論することではなく、話題になるのであれば強打の九国大付を1失点に抑えた投球の方だろう。今でも「高校野球=精神論」という考えがあるにはある。しかし時代は常に変化しているのだ。

・新たな投球術

というのもプロの世界では日本ハムの多田野数人選手が「超スローボール」の使い手として有名であり、相手打者との高度な心理戦を行なった上で投球している。むしろ新たな投球術として確立される時代になってきているくらいだ。

現に8月19日の山形中央との試合で西嶋投手が7回に投じた “一球” に甲子園は大きく沸いた。これは投球術に対する認識、そして彼の努力、技術の高さを知っているからこそではないだろうか。

・拍手を送りたい一球

残念ながら西嶋投手擁する東海大四は2回戦で姿を消したが、彼が山形中央戦で7回に投じた「超スローボール」が記憶に残ったという人も多いことだろう。古い固定概念を吹き飛ばし、新しい時代を切り開く一球……周囲の声に惑わされることなく、自身の投球スタイルを貫いた彼に拍手を送りたい。

参照元:Twitter @faridyu
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.

▼西嶋投手の超スローボール

▼予備動画

▼ダルビッシュ投手の発言