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半分は青い海をたたえ、もう半分は火の海が広がっている惑星……この「穏やかさ」と「地獄のような一面」を併せ持つ写真は、一体どこの星の姿なのだろうか? 実はこれ、約40億年以上前の地球の姿と考えられている図なのだ。なんとも不思議な光景だ。

このイメージ写真を公開したのは、「約40億年以上前の地球の表面に小惑星衝突が与えた影響」の研究を行っているNASA率いる国際研究チームだ。なぜ、地球はこのような姿をしていたのだろうか?

・約40億年以上前の地球

地球が誕生したばかりの約45億〜40億年前の時代は、謎に包まれているため冥王・ハーデスにちなんで “冥王代” と呼ばれている。冥王代は岩石がほとんど残っていないため、今までよく分かっていなかった部分も多かったのだが、今回の研究によって「なぜ岩石が残っていないのか」などといった謎を説明できる可能性が出てきたのだ。

この度、NASAの「太陽系探査バーチャル研究所」率いる国際研究チームは、当時、地球に巨大な小惑星が何度も衝突したことで、地球の表面が広範囲にわたって作り直されていたと発表した。

・巨大小惑星の衝突

冥王代の地球には多くの衝突があったと見られている。研究チームは、「直径960km以上の小惑星が1〜4回衝突したことで地球全体が大きく変化」、さらに「直径480km以上の小惑星が3〜7回衝突したことで海が沸騰して干上がった」、と考えているという。

恐竜を絶滅に追い込んだとされる隕石(いんせき)は直径約10kmだったということから、冥王代の地球に衝突した小惑星がいかに大きかったかが分かる。

・「火と水の惑星」の理由

それぞれの衝突は一定の期間を置いて起こっていたとされている。衝突のエネルギーによって、表層はマグマにおおわれることになるが、衝突が起こらない間になら、生命が生息するのに適する穏やかな地域もあったはず……といった推測から、今回イメージされた地球のように、一部がマグマの海になっていても、反対側の地球では穏やかな青い海が広がっていたということなのだ。

・冥王代に生物がいた可能性も

同時に今回の研究では、冥王代には生物が存在していた可能性も示唆されている。もし、冥王代に生物がいたとしたら、その厳しい環境を生き抜くために地中深く、もしくは海底地殻の深くに生息していたのではないかと考えられるという。

溶岩に包まれ “地獄のような” 面を持ちつつ、青い海も存在していたと考えられている冥王代の地球。実際の姿もきっと美しかったに違いない。

参照元:NASAYou Tube、Twitter @NASA(英語)
執筆:小千谷サチ

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