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「自らの限界や可能性に挑戦する」、言葉で聞くと大変美しいことのように思えるのだが、よく考えると他人にとっては理解しがたいことでもある。というのも、限界や可能性そのものが人によって異なり、誰かにはたやすくできることが、ほかの誰かには許容量を超える努力を要する場合もあるからだ。

そしてときに人は、周りから理解しがたいことでさえも挑戦する場合がある。英国人スチュアート・ケッテル氏の挑戦もまた、理解しにくいものである。彼は1個の芽キャベツを手を使わずに山の頂まで運ぶというものだからだ。ハッキリ言って、なぜそんなことをしているのか良くわからない。一体何の意味があるのだろうか?

・鼻だけで芽キャベツを山頂に運ぶ?

彼は最近この珍妙なチャレンジに挑み、イギリスウェールズでもっとも高い、1085メートルのスノードンという山を制覇した。彼の山登りのルールは1つ。手を使わずに山頂まで、鼻だけを使って芽キャベツ1個を運ぶというものだ。

・50分でたったの160メートル

鼻で押し上げなければならないため、地を這いずることになる。移動速度はあきれるほどゆっくりだ。50分間に移動できる距離はわずか160メートル。標高1085メートルとはいえ、登頂までには飽きれるほど時間がかかる。しかも、四つん這いで進むために、疲労の蓄積はただの登山と比較にならない。

・過去にも奇抜チャレンジ

実は彼がおかしなチャレンジするのには訳があった。ガンの慈善団体の寄付金を募るために、奇抜な挑戦を繰り返しているのである。以前は巨大な回し車で7日間をすごし、合計7回分のマラソンに匹敵する距離を走り抜いた。またペニーファーシングと呼ばれる昔の自転車に乗って、長距離移動したり、竹馬だけで800キロを踏破するなど、珍妙であるだけでなく、かなり過酷な挑戦を繰り返しているのである。

・途中で芽キャベツバラバラ

そして今回は、芽キャベツ登山に挑んだ訳である。50分で160メートルしか進まないため、山頂まで4日間かかった。しかも厄介なことに、途中で運んでいる芽キャベツがバラバラに砕けてしまうため、その都度芽キャベツを交換する必要があった。彼自身も「これまでで一番おかしな挑戦」と自負していたそうだ。

・身体はボロボロに

顔は傷つかないように、警備用のマスクを着用。手にはグローブ、膝には膝当てを着用して、四つん這いになってひたすらに芽キャベツを押し上げて行く。最終的に山頂にたどり着いたものの、身体中ボロボロになったという。努力の甲斐あって、英国メディアの話題になったのだとか。

山頂に向かう途中、かなり多くの人に奇妙な目で見られたとのこと。目立つのはたしかだが、もう少し違う挑戦もあるような気がするが……。とにかく最後までやり切ったスチュアート氏は本当にスゴイ。

参照元:YouTubeODDITYCENTRAL(英語)
執筆:佐藤英典