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ブラジルのガイドブックを眺めていたら、サンパウロに「すき家」があると書かれていた。調べてみると、2010年に1号店を出店してから今年6月までにサンパウロで9店舗を展開しているらしい。

私(筆者)は学生時代、まかない目当てで松屋と吉野家でアルバイトをしたことがあるほど牛丼好きである。サンパウロの牛丼は果たして馴染みの味なのか? それとも未知との遭遇なのか? 私は胸を躍らせながら、世界最大の日本人街リベルダージにほど近い場所にあるすき家を訪ねた。

・席を埋めるブラジル人

最寄りのメトロ「サンジョアキン」駅から徒歩1分。異国の風景の中に見覚えのある看板を発見し、にわかにテンションが上がった。店に足を踏み入れると、かなりの広さ。日本の一般的な店の1.5倍ほどあるのではないだろうか。カウンター席のほかテーブル席も多数あり、50人~60人は収容できそうだ。

ランチタイムだったこともあり、客席は7、8割埋まっていた。ワールドカップ開催中なのでガイドブック片手の日本人旅行者もいたが、客の大半はブラジル人で、すき家が現地ですっかり受け入れられていることが伺えた。リベルダージ付近ということもあり、日系人らしきご老人の姿もあった。

・気になるオリジナルメニュー

注文方法は日本と変わらない。写真付きのメニューを見て、店員に注文するスタイルだ。メニューを開くとクリームチーズ牛丼、トマトソース牛丼、トマト&チーズ牛丼、など期待通りの見たことのない牛丼たちが! 普通の牛丼を食べて日本のものと味を比べるもの良いが、やはり遠路はるばるブラジルまできているのだから、「現地ならではのオリジナル牛丼を食べたい!」という気持ちがムクムクと湧き上がってきた。

・トマトソース牛丼はパスタソースの味

そこで、私は2日に分けてトマトソース牛丼とクリームチーズ牛丼に挑むことにした。どちらかひとつでもいいかと思ったのだが、やはり牛丼好きとしては、今後いつサンパウロに来るかもわからないので、どちらも食べてみたい! 初日に注文したのはトマトソース牛丼。並サイズで11.40レアル、日本円にすると約524円。日本の2倍弱だ。

まずはソースのかかっていない部分を食べてみる。海外で日本食を食べると、米や味付けに違和感を抱くことも多いが……これはしっかり、ジャパニーズテイスト! 正真正銘、すき家の牛丼だ。

それではトマトソースと一緒に、いざ実食。トマトソースは程よい酸味があり、牛丼の甘みとマッチしている。しかし! パスタソースのような風味なので、どうしても牛肉がたっぷり入ったトマト味のパスタソースがご飯にかかっているように思えてしまう。決して不味くないので、牛丼とは別の料理として食べると「うん、なるほど!」と思える味だ。

・クリームチーズ牛丼はクリームシチュー味

この違和感は、後日に注文したクリームチーズ牛丼(約524円)も同じだった。日本で売られている「とろ~り3種のチーズ牛丼」とはまた違った風味で、クリームチーズを口に含んだ瞬間に思い浮かんだのは、コーンクリームシチューの味。しかも、かなり濃厚

それが牛丼にかかることで、私の中では「牛肉たっぷりのクリームシチューがご飯にかかっている」という印象になった。ただ、クリームシチューを白飯にかけて食べるのが好き、という人もいるだろう。私もその口で、これはこれでけっこう美味かった。付け加えるなら、腹持ちも良かった。

・オリジナル牛丼が逆輸入される日も近い!?

この2品を食べた限り、ブラジルのすき家は日本の味をしっかりと継承しつつ、独自の進化を遂げているようだ。どれもそれなりに美味かったので、現地のオリジナル牛丼が日本に逆輸入される日も近いかもしれない。

Report:川内イオ
Photo:RocketNews24.

▼外観も日本でお馴染みのデザイン
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▼メニューには魅力的なオリジナルメニューが!
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▼「EXTRA GRANGE」と書かれた巨大な特盛の器
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▼まずはこちらがトマトソース牛丼!
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▼そしてこちらがクリームチーズ牛丼だ!
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▼2種類のオリジナル牛丼を堪能
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