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ロシアがソビエト連邦の時代、アメリカやヨーロッパの音楽は規制されていたそうだ。レコードの販売はもちろんのこと、ラジオで流すことにも制限があった。とくに70年代後半から80年代に隆盛を極めたハードロックやへヴィメタルは、チェックが厳しかったようである。

最近海外のネットユーザーの間で、あるリストが話題を呼んでいる。それはソビエト時代にラジオで放送が禁じられたバンド・アーティストのリストである。これがなかなか興味深い。ちょっと勘違いしているのかな? と思うところもあるのだが、当時大活躍していたロックレジェンドたちが軒並みリストアップされているのである。

・ソビエトで放送が禁じられたアーティスト・バンドと禁止理由(抜粋)

ブラックサバス: 暴力、宗教的愚民政策
アリス・クーパー: 暴力、景観破壊
ナザレス: 暴力、宗教的神秘主義、サディズム
スコーピオンズ: 暴力
UFO: 暴力
ピンクフロイド: ソビエトの外交政策を妨害
セックスピストルズ: パンク、暴力
マッドネス: パンク、暴力
KISS: 国家主義、暴力
アイアンメイデン: 暴力
ジューダスプリースト: 反共産主義、人種差別
AC/DC: ネオファシズム、暴力
ドナ・サマー: エロティシズム
ティナ・ターナー: 性
ラモーンズ: パンク
ヴァンヘイレン: 反ソビエトのプロパガンダ
フリオ・イグレシアス: ネオファシズム

・ソビエト共産党が配布

このリストは1985年1月、当時のソビエト共産党から配布されたそうだ。党の若手陣営が制作したと言われている。そして Twitter に投稿された画像は、ロシア語の原本を元にして制作されたものとのこと。

・海賊版リストとして活用

本来はソビエトで “過激な音楽” が広まらないことを目的として配布されたのだが、当局の意図とは違う方向に活用されたそうだ。ソビエトの若者は刺激的な音楽に飢えており、このリストは禁止された音楽の海賊版リストとして関心を集めることになったというのである。

ただ、その海賊版がとんでもない代物で恐ろしく音質が悪かったとのこと。それがもっとも安いものでわずか1ルーブル(約3円)で販売されていたのだとか。その価格にも驚かされる。とにかくこのリストは音楽と政治の歴史を知るうえで、貴重ではないだろうか。

参照元: UPROXX、Twitter @Danny Wasonga(英語)
執筆: 佐藤英典