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2013年5月に千葉・幕張メッセで行われた、ロックイベント『OzzFest』(オズフェスト)に出演し、その名前を広く知らしめることとなったロックバンド「人間椅子」。1989年にデビューした彼らは、今年でちょうど活動25周年を迎えた。デビュー時に「オギャア!」と生まれた赤ちゃんが、今では立派な大人になるような長い月日、バンドを継続しているのだ。

昨年来、彼らの勢いは増すばかり。8月に通算17枚目のオリジナルアルバム『萬燈籠』(まんどろ)をリリースすると、リリースツアーで全国を駆け抜け、その流れを留めることなく新譜の制作に突入。この6月25日に『無頼豊饒』(ぶらいほうじょう)を発売することとなった。5月某日には都内ライブハウスでPVの撮影を敢行。25年間蓄えたエネルギーが今、一気にあふれ出しているようだ。

・新譜ツアーファイナルも完売必至

彼らは昨年、アルバムのリリースツアーファイナルを渋谷のライブハウス「o-west」で2日間行っている。そのチケットは、発売と同時に即日完売。これまでの活動において、即日完売はデビュー当初しかなかったそうだ。注目を集めると同時に、ライブ動員を着実に増やしており、新譜のツアーファイナルも確実に完売することになるだろう。

・人間椅子らしさが詰まった1曲

PVの撮影は、東京・高円寺のあるライブハウスで行われた。新譜の2曲目に収録されている『なまはげが』、PVに採用された楽曲である。この曲を一言で説明するなら、「人間椅子の『人間椅子らしさ』が凝縮された曲」といえるだろう。撮影日にドラムのナカジマノブ氏に声をかけると、「すべてを詰め込んだ」と話していた。その言葉にふさわしく、これを聞けば今の彼ら、いやこれまでの彼らも、瞬時に捉えることができるだろう。彼らの曲を聞いたことがないという人に、勧めたい1曲である。

・民俗行事がモチーフの曲、『なまはげ』

タイトルに『なまはげ』とあるように、この曲は秋田の伝統的な民俗行事「なまはげ」がモチーフになっている。真っ赤な顔をした鬼が、「悪いこいねがー!」と声を上げながら家々を回るというものだ。曲の全編を通して、重苦しいギターのリフが繰り返される。まるでなまはげが、ジワリジワリと家に近づいてくるようだ。

それが突然曲の中盤でテンポアップする。それまでと打って変わって、エッジのきいたビートに変わり、疾走感のある展開へとなだれ込んでいく。まさになまはげが、悪い子を見つけて家のなかへと駆け込んでくるような迫力だ。時折曲中に聞こえてくる呻き声が恐怖心を誘う。それなのに、なぜか懐かしく感じるのは、ドラムのビートが祭囃子のように聞こえるからだろうか。

・象徴する言葉

この曲の歌詞の一節をご紹介したい。なまはげを象徴する言葉であると同時に、今の世の中を戒める一言のように思えてならない。

「厳しさ それが愛じゃ
激しさ それが慈悲じゃ
手心 それが毒じゃ」
(人間椅子 『なまはげ』より引用)

・「これぞ人間椅子」

PV撮影はファンクラブ会員を招いて行われた。この日、初めてこの曲を人前で披露したのだが、ファンの反応は彼らの予想を上回るものだったに違いない。ファンはこの曲を初めて聞いたものの、人間椅子らしさが詰まった楽曲に興奮を禁じ得なかった。最初の試聴が終わると、「これを待ってた」、「これぞ人間椅子」、そう言わんばかりのオオーッ!! という感嘆の声が会場を包んだのである。

・初めての人にお勧めしたい

撮影は何度か繰り返し行われ、アルバム発売前に公開されることになるだろう。一体どんな映像になっているのか楽しみである。

人間椅子ファンにはもちろんのこと、興味はあるけどまだ曲を聞いたことがないという方は、最初の1曲にこの『なまはげ』を聞いて頂きたい。紛れのないまっすぐな彼らの曲と世界観を堪能できるはずである。

取材協力: 徳間ジャパン人間椅子
Report: 佐藤英典
Photo: Rocketnew24

▼ライブハウスを終日貸し切って行われたPV撮影
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▼日中はバンドメインの撮影が行われ、夕刻よりファンクラブ会員を招いて撮影
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▼2013年5月、『Ozzfest』出演時の映像