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約50日間にもおよぶ北極冒険を終えた荻田泰永氏。残念ながら北極点に、徒歩で到達することはできなかった。2012年のチャレンジに続き、今回も撤退することになってしまったのだが、ケガや病気をすることがなかっただけでも幸いではないだろうか。

そんな荻田氏がカナダのレゾリュートから、Facebookを更新している。現在の心境について、次のように伝えている。

・荻田氏の最新コメント

「昨日、48日間の海氷上での冒険行から、無事にレゾリュートへ帰還しました。厳しい単独行でしたが、ケガもなく無事に戻れたことに安心しています。(中略)今はただ、悔しさと疲れの中にいますが、頭の中では今回新たに学んだことや経験を活かして、如何に次回の挑戦に繋げていくか、ということしかありません」

・命あっての後悔

おそらく彼が断念することを、多くの人が残念に感じたはず。しかし誰よりも一番悔しい思いをしたのは、本人である。だが、食料が豊富にないなかで到達にこだわり、判断を誤れば命を落とす危険性さえあった。そのなかで「撤退」と決めるのは、本当に勇気のいることだったと思う。命があったうえでの後悔なのである。死んでしまっては後悔さえできないのだ。

・詰めの甘さ

荻田氏は、今回撤退することになった要因のひとつに、「計画の詰めの甘さ」を挙げている。序盤の激しい乱氷帯やブリザードで何度も足止めを食らい、軽量化のために十分な蓄え(食料)がない状況で、これ以上時間を費やすことができないと判断したのだ。誰にも予想ができることではない。

しかし荻田氏は「自分の現在の力で充分に進行は可能であると感じています」としている。つまり、力はあったが計画が甘かったのではないか? と分析しているのである。最後に荻田氏は次のように結んでいる。

・今後について

「ただ、何を言おうと結果は撤退ということになりましたので、結果を真摯に受け止めて、これを経験にさらにパワーアップしていきたいと思っています」(以上、荻田泰永 Facebookより引用)

今回の疲れが癒えないうちから、すでに次の冒険に向けての志を燃やしているようだ。2014年の冒険は撤退に終わった。だが、荻田泰永の冒険人生にとって、これは撤退したのではなく、前進したのである。

情報提供: 荻田泰永北極点事務局
画像: 荻田泰永 Facebook
執筆: 佐藤英典

▼冒険出発当初の様子。118kgのソリを引いて、山のような氷を越えて行く
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▼キャンプ地に広げた応援旗
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▼ピックアップ機の前で撮影
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