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東京に在住している人の中には、「都内でお気に入りの散策エリアがある」という人は多いだろう。だが、毎回同じ場所だと、どうしても飽きてしまうもの。そして、人気のスポットは、えてして多くの人で溢れてしまいがち。

そこで、旅行コンサルタントの中西茂さん(仮名)に、「多くの人が集まる東京の超有名スポットの近くにあるものの、魅力では決してひけを取らない穴場」という観点で、おすすめの東京散策スポットベスト5を選んでもらった。

5位:新大久保

「日本一の歓楽街として超有名な新宿歌舞伎町。そこを突っ切ってしばらく歩けば、新大久保があります。コリアンタウンとして有名なこの街は、歩くだけでも面白い。日本の店舗ではなかなか見られないものが売られているんですから。何より日本にいながら、日本とは違う空気感を感じられるのがいいですよね。

そして、周囲にある焼肉店がやはりレベルが高い! 界隈を散歩した後に、おいしい焼肉とビールで締めるなんて、素晴らしいと思いますよ。」

4位:西荻窪

「雑誌のアンケートなどで、何年も連続「住みたい街No.1」に選ばれている吉祥寺。西荻窪はその吉祥寺の隣にある街です。ここ数年で、吉祥寺に観光客向けの店がどっと増えてしまったのに比べて、西荻窪にはそういう気配がほとんどないのがいいのです。

距離が近いだけに、雰囲気は少し吉祥寺と似ていますが、西荻窪の方がいい意味でゴチャゴチャしているとでも言うのでしょうか。吉祥寺より道が狭く、周辺にある店も決して小洒落た店ばかりではないのですが、その生活感がいい! また、古本屋やカフェが多いこともポイント高いです。」

3位:鴬谷

「動物園やアメ横などで有名な上野ですが、JR山手線でその上野駅の隣にあるのが鴬谷です。まず、名前がいいですよね、風流ですよね。鶯谷駅は一日の平均乗降者が山手線の中で最も少ないと言われている駅ですが、その風流さ故か、駅の回りには多くの人が集まっています。

ここに来たなら、正岡子規が暮らした「子規庵」は外せないスポット。決して派手ではありませんが、そのひっそりとした建物の佇まいは、子規の俳句の世界そのものです。脊椎カリエスの激痛と戦いながら、ここで数々の名作を残したのかと思うと感慨深いものがありますよ。ちなみに、鴬谷から、日暮里やら谷根千方面に散策するのもおすすめ。」

2位:雑司ヶ谷

「池袋の近くにある雑司ヶ谷。そこにある雑司ヶ谷霊園は、ただの墓地ではありません。何と言っても、埋葬されている人が超有名人ばかり。夏目漱石、永井荷風、ジョン万次郎などなど、日本人なら誰もが知っているような人たちが多く眠っているのです。

いわば雑司ヶ谷霊園は、明治から昭和までの日本の歴史をぐっと凝縮したような場所。歩いていると、夏目漱石の墓を発見したりして感激しますよ。ただし夏になると、蚊が多く発生するのが難点。なので、散歩するなら今ぐらいがおすすめです。」

1位:吉原

「浅草下町文化の正面玄関が浅草寺だとするならば、その裏口にあたるのが吉原だと言えるでしょう。吉原と言えば、風俗街というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、決してそれだけの街ではありません。むしろ、吉原は歴史と文化の街だと言えます。

吉原が今の場所に移転したのは江戸時代前期ですが、その時からこの敷地内ではどれだけのドラマがあったことでしょう。そして、どれだけ多くの人が通い詰めたことでしょう。吉原に通ったことがあるのは、伊藤博文や山県有朋、陸奥宗光など日本史の教科書に登場する人もたくさんいます。

また、お忍びで通った人となると、数えきれません。江戸に滞在したことがある幕末の志士なんて、ほとんどが一度はお世話になったのではないでしょうか。「坂本竜馬もこの辺りを通ったのかな〜」なんて想像しながら歩くと、めちゃくちゃ楽しい!

また、時間に余裕があるなら、近くにある樋口一葉記念館や、少し離れた投げ込み寺などを回って見るのもいいですね。私なんて、吉原が好き過ぎて、しょっちゅうあの界隈を歩いていますよ。」

……とのことである。とにかく、「いつもの散歩コースに飽きてきた」という都内在住の人や、「東京へ観光に行くと、毎回同じ場所ばかり回ってしまう」という地方在住の人は、参考にしてみてはいかがだろうか。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.