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「腰痛」は、経験した人しか分からない痛みと辛さがある。そして、痛みが酷い上に、「どうすれば完治するのか」がはっきり分からないため、絶望的な気持ちになるものである。

私もそんな経験をした1人。私の場合は腰椎の椎間板ヘルニアだった。それも「手術をした方がいい」と言われるレベルの。ところが、ある整体院で教わった体操を実践しているうちに、みるみる痛みがとれて治ってしまったのだ。今回は、その方法をご紹介しよう。

最初に断っておくが、この記事で紹介する方法は、私にとっては効果が大きかったが、腰痛に悩む全ての人にとって有効である保証はない。あくまでも「実践したら私は治りました」という話である。

・26歳で椎間板ヘルニア発症

ちなみに私が椎間板ヘルニアになったのは、26歳の時。「腰の痛みが酷い」と思って病院に行ったら、「MRI検査が受けられる大きい病院に行ってください」とのこと。

言われるがままに行った病院で検査を受けると、「腰椎4番5番の椎間板ヘルニア」と診断されたのだ。MRIの画像を見ると、確かに背骨から軟骨が飛び出しているではないか! 「マジかよ」という気分に追い打ちをかけるように、「手術した方がいい」と整形外科の先生からのご宣告。

ただ、生来のビビりであることに加えて、「腰椎椎間板ヘルニアは手術しても治るとは限らない」程度の知識があった私は、なんとか手術なしで治そうと考えた。整形外科だけでなく、整体院や鍼灸院などに行けば、どこかに有効な方法があるのではないかと思ったのだ。

・病院を何件も回る

それからというもの、ネットで「ここの鍼灸院がいい」という評判を見つければそこに行き、腰の具合が変わらなければまた別のところに行くという生活。全部で10件近くまわっただろうか。保険が効かないところが多かったため、経済的な面でも相当な負担だった。

・思い出したくない坐骨神経痛

当時は、腰の痛みも酷かったが、強烈なのは坐骨神経痛! 私の場合は座れないタイプだったため、仕事面でも生活面でも支障が大きかった。足の指先までしびれる神経痛は、今でも思い出したいくない程である。

そんな時、ある整体院に行ったところ、先生に「手術しなくても、今から教える2種類の体操をすれば大丈夫」と言われた。最初は「腰椎の椎間板ヘルニアが体操程度で治るわけない」と思っていたが、やってみると本当に治ってしまったのだ! その体操は以下の通り!!

・体操1

まず、仰向けになり膝を立てる。そのまま腰を動かさずに、膝だけ左右にゆっくりと振ろう。左側が床についたら今度は右側というように、膝を180度の範囲で動かす。これだけである。この時大事なのは、ちょうど腰の当たりがほぐれているような感覚があること。「気持ちいい〜」とまで感じられればベスト

・体操2

次の体操も仰向けの状態で行う。まず、膝をゆっくりと持ち上げて、両腕で抱え込む。ちょうど、寝ながら体育座りをしているような格好だ。それから膝をゆっくりと胸に近づけていき、「これ以上は無理」というところで姿勢をキープ。この体操は、腰の部分が伸びて心地いいような感覚を感じながら行うのが重要。痛みを感じない範囲で、ゆっくりとやろう。

・体操をする時間は?

長時間体操を行う必要は一切ない。腰痛の酷さにもよるが、1つの体操につき5分で合計10分。それを朝と寝る前の1日2回行えばOK! 非常にお手軽である。

・効果は徐々に出る

ただ、この体操はやってすぐに効果が出るというものではない。私の場合は、1週間くらいすると「ちょっと楽になったかな」という感覚があり、1カ月くらいすると、確実に快方に向かっているという実感があった。3カ月くらいするとほぼ痛みを感じなくなり、完全に痛みを感じなくなったのは6カ月後である。なので、根気よく続けることが大事!

・痛みをおして行うのは厳禁

なお、痛みが強い場合は、体操を完璧にやらなくても大丈夫。痛みで膝を左右180度まで動かせなかったり、膝を抱え込もうとしても膝が胸に着かないかもしれないが、最初はそれでも問題ない。続けているうちに徐々に可動範囲が広くなっていくので、無理のない範囲で行うこと。むしろ痛みをおしてやるのは厳禁だ。

・痛くて全く動かない場合はどうするのか?

私自身そうだったのだが、中には「痛みを感じない範囲って言われても、ちょっとでも動かしたら痛いわ!」という人もいるだろう。そんな時、使えたのは「牽引」だ。整形外科や整体院の器具を使って行う、腰痛持ちにとっては、おなじみの方法である。

私の場合、牽引だけをしていても効果は薄かったが、牽引するとほんの少しだけ痛みがマシになったので、それから体操をするという手順を踏んだ。腰痛に悩んでいる人からは「牽引しても治らない」という声をよく聞くが、私にとっては「体操できる程度に痛みを抑える方法」と考えると有効であった。

ただし、牽引器具は全ての病院や整体院にあるわけではない。「やってみよう」と思っている人は、事前に電話やホームページで確認して、設置している病院を選ぶのがいいだろう。

・快方に向かっている感覚を得られたら?

体操を続けて、よくなっているという感覚を得られたら、次は腹筋と背筋の筋トレをしてみよう。体操を教えてくれた先生いわく「腹筋や背筋が衰えると背骨の負担が大きくなる。それも腰痛や腰椎椎間板ヘルニアが発症する一因」なのだそうだ。なので、腹筋や背筋をトレーニングすることで腰の痛みを和らげるともに、再発のリスクを軽減させるのである。

やり方は、よくある腹筋と背筋の運動と同じ。ただし、これも痛みのない範囲で、ゆっくりと行うこと。回数も、状態に合わせて無理のない程度で問題ない。腰の具合が快方に向かっていくのに合わせて、少しずつ回数を増やせばOKだ!

ということで、以上の内容をまとめると、体操できる程度に体を動かせる人は、体操 → 腹筋・背筋の筋トレという流れであり、体操もできない程に痛みが強い人は、牽引 → 体操 → 腹筋・背筋の筋トレである。

・「体操なんかで治らない」という思い込みを捨てる

腰痛に悩んでいる人の中には「腰痛体操は知ってた」という人も多いだろう。ただ、知っていたとしても、どこかで「体操なんかでは腰のヘルニアは治らない」とか「ヘルニアを治すにはブロック注射や手術などの痛みを伴う治療が必要」と思っている人が多いのではないだろうか? 

確かにそのような人もいるだろう。だが、シンプルなこの体操でも、毎日続けることで私のように効果を発揮する例もある。時間もお金もかからないため、腰痛に悩んでいる人は、ぜひ試してみてはいかがだろうか。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼体操1。膝を立て、腰を動かさずに膝を左右に動かす
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▼反対側も同じように動かそう
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▼体操2。膝を抱え込み、ゆっくりと胸に近づけていく。腰の当たりが伸びている心地よい感覚を感じられたらOK
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