finmetal

北欧フィンランドの音楽シーンはアツい! ハードロックやへヴィメタルは広く親しまれており、上品なホテルのロビーでこれらの激しい音が流れてくることさえある。さすがエアギター選手権発祥の地。有名アーティストを多数輩出しているだけある。

そのフィンランドには、まだまだ日本で知られていない奇抜かつハイセンスなバンドがいくつも存在する。そんな同国の音楽に詳しいフィンランド音楽専門サイトを運営している、シオミユタカ氏におすすめのメタルバンドを紹介してもらったぞ。以下は独自の音楽性が光る5バンドである。

・フィンランド音楽専門サイトを運営するシオミ氏のコメント

北欧、フィンランドといえばメタル。日本では実はすでに「Nightwish」、「HIM」、「Children of Bodom」など、有名なロックバンドが結構あるのですが、そのなかでも特徴的で面白かったり、ロック好きな人以外も聞きやすいと思われるバンドを選んでみました。

・「Korpiklaani(コルピクラーニ)」

いたって真面目なフォークメタルバンドだが、何を思ったか日本の音楽会社が名付けたユニークすぎる邦題がネットで話題に。本来は「フォークメタル」と呼ばれる分類なのだが、どういう訳か「森メタル」と呼ばれており、彼らのアルバム『Spirit of the Forest』は「翔び出せ! コルピクラーニ」という日本語のタイトルがつけられ、1曲目の『Wooden Pints』は「酒場で格闘ドンジャラホイ」と邦題がついている。

・「WHISPERED(ウィスパード)」

和楽器と和旋律を用いて、「歌舞伎メタル」を標榜するバンド。和装に歌舞伎メイクをしており、一見色物バンドに見えるのだが、楽曲は骨太で疾走感があり、聞いているうちにその世界観に引き込まれて行く。2013年11月にイベントで来日。

・「Lordi(ローディ)」

サンタクロースが住んでいることでおなじみ、ロヴァニエミ出身。見た目がすごい。ヨーロッパ全土で競われる音楽コンテスト「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」で優勝したことのある、フィンランド唯一のバンド。視覚インパクト絶大、悪魔的なルックスに度肝を抜かれる。サンタ村出身なのにメルヘンチックな印象ゼロ。

・「Amoral(アモラル)」

ヴォーカリストの脱退、加入によってサウンドががらっと変わったことで話題となったバンド。現在のヴォーカル、アリ・コイヴネンはフィンランドのアイドル発掘番組「Finland Idol」でDeep Purpleを歌って優勝したという異色の経歴の持ち主。好みは結構分かれて、リーダーでギタリストのベン・ヴァロンいわく、実際にファン層もガラッと入れ替わったらしい。

・「Apocalyptica(アポカリプティカ)」

ヨーロッパを代表する音楽大学、シベリウス音楽院のクラシックコースを専攻するチェロ奏者4人が、学園祭でメタリカのカバーをしたところ、めちゃくちゃウケてそのままデビュー、現在では世界的に有名に、日本でも人気。

以上がシオミ氏のおすすめする5つのメタルバンドである。人口わずか530万人の同国で、さまざまな要素を持つメタルバンドが独自の世界観を確立していることに驚かされる。音楽シーンの懐の深さが、多様性を許容しているのだろうか。とにかく非常に興味深い。これはメタルバンドに限ったことではない。次回はシオミ氏のおすすめする、カテゴライズ不能な超個性的アーティストをご紹介しよう。

参照元: WHISPERED
執筆: 佐藤英典
協力: シオミユタカ フィンランド音楽専門サイト「o-moro」

▼森メタルといわれる「Korpiklaani(コルピクラーニ)」の曲『酒場で格闘ドンジャラホイ』(原題Wooden Pints)

▼歌舞伎メタルの「WHISPERED(ウィスパード)」の楽曲『JIKININKI』

▼サンタ村のあるロヴァニエミ出身「Lordi(ローディ)」のライブ映像

▼ヴォーカルの交代で楽曲がガラッと変わった「Amoral(アモラル)」。2代目ヴォーカル、ニコ・カリオヤルヴィ時代の演奏

▼3代目アリ・コイヴネン時代の演奏

▼有名音楽大学出身のチェリスト4人による「Apocalyptica(アポカリプティカ)」