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皆さんは「全国吹奏楽コンクール」をご存じだろうか? 1940年に創設され、いまだに続いている日本最大規模の吹奏楽の大会である。中学校・高校の吹奏楽部はこれを目指して、日々練習に励んでいる。吹奏楽の甲子園といっても過言ではないだろう。

なぜか吹奏楽部に在籍する生徒は女子が多い。したがって、ブラスバンド部の実態をしらないという男性も多いはずである。そこで今回は、吹奏楽部在籍していた(している)人なら納得する、ブラスバンドあるある50連発をお伝えしよう。

・ブラスバンドあるある

1.最初に「金管」か「木管」かを選ぶのは、「戦士」になるか「魔法使い」になるかくらい重要な選択
2.あえて「武闘家」に匹敵する「パーカッション」という選択もある
3.金管のなかでもトランペット・トロンボーンは花形。チューバ・ユーフォニウム・ホルン辺りは逆に渋い選択
4.マウスピースの臭さに一度はうんざりする
5.シルバーポリッシュ・ラッカーポリッシュ(楽器を磨く洗剤・研磨剤)の匂いが好き
6.ピカピカに磨けると、しばらく楽器に触らずに眺めていたくなる
7.最初はチューニングで音の違いを聞き分けられない
8.最初は楽譜を読むのにも一苦労
9.全国吹奏楽コンクールの過去の課題曲に、1曲は大好きな曲がある
10.名門校の実力をまざまざと見せつけられると、きっと練習は地獄だろうなと考えてしまう
11.ロングトーンをもっとまじめにやっておけば良かった
12.メトロノームの無機質なビートにイライラしたことがある
13.まじめなのにへたくそな先輩を見ると気の毒になる
14.割と分奏が好きだ
15.サックスもしくはクラリネットをやってる子に、可愛い子が多い
16.本命はオーボエ、変化球でファゴット
17.男女を問わずチューバの似合うやつは、本当に良く似合う
18.基本的に男子生徒は少ないので、コンクールとかで男子を見つけると、それだけで嬉しくなる
19.そして割と仲良くなる
20.異なる学校同士、どの子が一番可愛いか比較して競い合う
21.コンクールでは割と演奏は二の次だったりする
22.部長がムカつく
23.顧問と親しければ親しいほど、さらに部長がムカつく
24.卒業した先輩が練習を見に来てくれると嬉しい
25.その先輩がさらに先輩を連れてくると、期待されている感じがする
26.先輩の実力をサッカーに例えるとジーコなら、先輩の先輩はペレ級である
27.でも、自分は後輩にとってジーコにもペレにもなれていない
28.男女の先輩後輩の関係は意外と難しく、照れくさくて後輩に口をきけない
29.「嫌いとかじゃないんだよ」とか思ってるけど、それさえも言えない
30.卒部するまで何一つまともにしゃべられずに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる
31.そんな後輩も学校を卒業して、街でばったり出会ったときに超美人になっていると、「一生の不覚!」と公開する
32.憧れの先輩(女子)に対しても同じように、どんどん大人びていくその姿に、自分だけが置き去られていく感じがする
33.ブラスバンド時代にもっと仲良くしていれば……。中二病まっただなかにあった自分が憎い
34.訳もなくホルンに手を突っ込む
35.訳もなくパーカッションのドラムを叩く
36.ついでに銅鑼も叩く
37.そして顧問に怒られる
38.夏休みの練習時には音楽室でゴロゴロしている
39.コンクール明けだとまったく練習に身が入らないず、音楽室でゴロゴロ
40.コンクールの評価「銅賞」は、「銀賞」と天地ほどの開きがある
41.長年「金賞」を獲得してきた学校で、数十年ぶりに「銀賞」という不名誉に輝いたときには、中学生ながらに自分たちの不真面目さをまざまざと味わった
42.さらにその会場で自分は「あ~終わった終わった」くらいで考えていたのに、号泣している部員を見たときに、たぶん俺のせいで「銀賞」だったなと気づいた
43.チームワークが苦手なのに、どうして息を合わせて演奏するブラスバンド部に入部したのか不思議でたまらない
44.それでも年に1度か2度くらい、合奏に一体感が生まれる瞬間を味わうと、「やっぱ音楽っていいな」と思う
45.その一体感がコンクール後に訪れると、嬉しい反面「これがあの時なら……」と寂しい気持ちになる
46.サマーコンサート(夏に公共の施設を貸し切って行われる発表会)で、一般に人に演奏を聞いてもらえるのは楽しい
47.先輩たちだけの編成で行われるプログラムは、NBAのドリームチームに匹敵する迫力がある
48.真面目に練習してこなかったから、自分はドリームチームに入れない
49.どれだけ練習していたとしても、部を去り学校を去ってから「もっと練習しておけば」と1度は振り返る
50.実力はどうあれ、練習量はどうあれ、音楽を好きで良かったとずっと思っている

本格的に音楽を学び始めたそのきっかけが、吹奏楽部だったという人もいるだろう。部活をきっかけにして、音楽系の大学や専門学校に進んだ人も少なくないはず。そう考えると、歴史ある全国吹奏楽コンクールは、日本における音楽の普及と発展に大きく貢献しているのではないだろうか。

執筆: 佐藤英典
イラスト: マミヤ狂四郎