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学校などの公共のトイレで、時々見かけるものがある。それは落書きだ。学生の頃に、こっそり書いてしまったという人もいるはず。最近私(記者)は、都内のビジネス街でその懐かしき落書きに出会った。

それも居酒屋の男子トイレでだ。おそらくこの界隈は有名企業が数多くあり、有能なビジネスマンが仕事をする戦場である。まさかこんなところで、他愛のない言葉がつづられた落書きを見るとは、想像もしていなかった。なぜ落書きをしてしまうのだろうか? そして落書きに込められた意味とは?

・男子トイレに必ずある貼り紙

女性はあまり知らないと思うが、男子トイレの小便器の前には、この居酒屋に書かれているような文言が貼り出されている。「もう少しだけ一歩前にお願いします」。これは尿が便器に届かずに床が汚れるための注意だ。言葉は違っても、多くの居酒屋でこのような貼り紙をしているものだ。

・落書きのなかで生まれるコミュニケーション

そこに無理やり言葉を継ぎたして、無意味な落書きがいくつもされているのである。一体誰が何の目的で書いたのだろうか? いや、たぶん目的など何もない。小便中のヒマを持てあまして、ペンをとっただけだろう。だが良く見ると、落書きした者の間でコミュニケーションが生まれているのである。

「落書きするならセンスよく!!」 ← 「そのとおり!」
「こんなかんじ」 ← 「これはいいかも!!」 ← 「ウフフ」
「みんな乙」 「もまえ(おまえ)もなww」

……など。まるで見知らぬ同士がこのトイレで出会い、気軽にあいさつを交わしているようではないか。いや、もっとこれに似たものを、ネットユーザーは知っている。FacebookやTwitterのようなSNSに何か似たものを感じる。

・落書きするならSNSに投稿しよう

なぜ落書きをしてしまうのか? もしかしたら、現在SNSが活用されているように、コミュニケーションを求めているのではないだろうか。不特定多数が見る環境で、特に意味のない言葉を投げかける。これこそまさに落書きであり、SNSと本質的に近しい。ちなみにこのお店では、男子トイレの貼り紙に落書きがされていることを承知している。その上で、定期的に紙を貼りかえているそうだ。もしかしたら店の人も、落書きを見るのを楽しみにしているかもしれない。

とはいえ、落書きをしてはいけない。この店のようにあえて落書きを放置している場合もあるが、許されるものではないので、何かを訴えたい衝動に駆られたら、FacebookなりTwitterなりを利用した方が良いだろう。

執筆: 佐藤英典
Photo: Rocketnews24

▼なぜ落書きしてしまうのか……
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