brushy

ミュージシャン・バンドマンにとって楽器はとても重要だ。音楽の生命線であり、肉体の一部といっても大げさではないだろう。だが、その一方で矛盾しているように思うかもしれないが、楽器がすべてという訳ではない。良い楽器を使えば、良い音楽をできるわけではないからだ。

そのことを証明するような人物が、ジャマイカにいる。彼の名はブラッシー(Brushy)。彼のボロボロのギターには弦がたったの1本しか張られていない。だが、その表現力は凄まじく、心揺さぶられるものがある。彼の曲を聞けば、音楽の本来の姿を垣間見ることができる。

・映画監督に見出される

ブラッシーは、映画監督ルシアーノ・ブロッタ氏によって見出された。2011年に公開された、ジャマイカのアンダーグラウンドの音楽シーンに焦点を当てたドキュメンタリー作品、『RiseUp』の制作途中に、監督がブラッシーに遭遇したのである。

・代表曲は300万回再生

映画のオフィシャルトレーラーに彼を起用したところ、海外のネットユーザーの間で反響を呼び、2013年4月にフルアルバムをリリースするに至った。彼の代表曲『Chicken in The Corn』は約300万回再生されるほどの人気ぶりだ。

・さまざまな音楽ジャンルの要素

動画を見ると、お世辞にも上等とはいえないボロボロのギターを打ち鳴らしながら、1本の弦でベースラインを弾く。そして魂のこもった歌声を聞かせているのである。彼の曲を聞いていると、レゲエをルーツに持ちながらソウル、ブルース、HIPHOPなどさまざまな音楽ジャンルの要素を感じとることができる。それはまるで、あらゆる無駄な装飾を排した、歴史的建造物の骨組みを見ているようだ。

そして音楽が本来持っているはずのポテンシャルが、むき出しのようにも思える。ちなみに映像では、彼の仲間が途中から歌に参加しているのだが、次第にごきげんになっていく様子が痛快である。これぞ音楽! そう感じさせられる。良き音楽を奏でるもの、それこそ良い楽器であり良いミュージシャンなのではないだろうか。

参照元:YouTubeBrushy one string(英語)