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以前の記事で、アメリカ・ロサンゼルス在住のひとりの青年についてお伝えした。彼は、13歳のときからVFX(視覚効果)を駆使した映像制作を初め、1年経った現在、YouTubeで注目を集めつつある。

・若き天才、村山譲

制作している作品を見ると度肝を抜かれる。というのも、演出はもちろんのことカット割りやストーリー性など、どれをとってもよく出来ているからだ。とても10代の作品とは思えない。すでに大手制作会社もアプローチしているのだとか。そんな彼にインタビューを行うことができた。彼の言葉から学生なりの努力と工夫が感じられる。

・8歳のときにLAに移住

映像制作の若き天才村山譲(むらやま じょう)さんは、今から8年前の2005年に家族でLAに移住している。父親は音楽家の村山晋一郎さんである。晋一郎さんは現在も日本で仕事をすることが多く、2013年10月末にも都内のスタジオでレコーディングを行っていた。

8歳からアメリカに住む譲さんは、週一で日本語を補習校で勉強していたそうだ。今回、メールで譲さんに映像制作のきっかけや、制作のときの苦労。また影響を受けた作品などについて尋ねた。

【映像制作の若き天才、村山譲さんインタビュー1】

Q1:映像制作をしてみようと思ったきっかけは何ですか?

A:YouTubeで有名なクリエーターFreddiew(チャンネル登録者数600万人以上、総再生回数9億回以上を持つYouTubeクリエーターの草分け的存在)とかCorridorDigital(同じく総再生回数2億回の名うてクリエーター)のビデオや、『トランスフォーマー』などのアクション映画を見てるうちに、自分でこういう作品を作れたらいいなと思って、VFXの勉強をし始めたのがきっかけです。

Q2:一番最初の映像作品は、何歳のときに作りましたか?

A:初めて作った動画は僕が13歳の時に開設したYouTubeチャンネル、「FilmTheGalaxyX」で公開していました。ですが、もう削除してしまいました。一番最初の作品はVFXは無く、ただ僕と友達がナーフガン(スポンジ弾のおもちゃ)を持って走り回っていただけです(笑)。

Q3:最初の作品を作るとき、一番苦労したことは?

A:一番最初に作った作品を、Macの映像制作アプリケーション「iMovie」で編集するのが大変でした。とにかく未体験でしたので、右も左も分からず苦労しました。

Q4:どの作品に一番影響を受けたと思いますか?

A:VFXで影響を受けたのは、『トランスフォーマー』、『2012』、『Inception』などのSF映画ですね。

Q5:では、もっとも好きな作品は何ですか? またその理由は?

A: もっとも好きな作品は映画なら『The Conjuring』(邦題:死霊館)、アニメは『NARUTO -ナルト- 疾風伝』、テレビ作品なら『ドクター・フー』、『ブレイキング・バッド』、『ウォーキング・デッド』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、それから『How I Met Your Mother』(邦題:ママと恋に落ちるまで)です。これらが好きな理由は、ストーリーの展開が面白くて、シネマトグラフィー等のテクニカルな技術が凄いからです。

・13歳のときに思い描いた作品世界

初期の撮影で、13歳の彼がナーフガンを持って走り回っていた姿を想像すると微笑ましい。だが、そのときすでにさらにクオリティの高い映像を作ることを、思い描いていたはずである。そうでなければ、YouTubeで話題となり約40万回視聴される映像を作り出せなかったに違いない。そんな彼はどのように制作を行っているのだろうか。

【映像制作の若き天才、村山譲さんインタビュー2】

Q6:現在どんな機材を使って映像制作していますか?

A:今は自作パソコンとキャノンの「EOS Rebel T4i」(EOS Kiss 650D)と友人の「EOS 6D」を使って撮影しています。

Q7:お小遣いを貯めて機材を揃えたそうですが、今の機材を揃えるまでにどの位の期間がかかりましたか?

A:機材は家事を手伝って、両親にもらったお小遣いを貯めたのに加え、誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、お年玉としてちょこちょこ機材を買ってもらったりして、3年程かけて 買い集めました。

Q8:作品づくりのアイディアは、どんな風に思いつきますか?

A:最初はやってみたいVFXを考えて、そのアイディアを元に ストーリーを展開させています。

Q9:制作は一人でやっていますか?

A:VFXとかポストプロダクション(撮影後の作業全般)の方は、ほぼ自分一人でやっています。撮影のときは5人くらいのグループでいつもやっています。

Q10:将来的にはどんな仕事に就きたいと考えていますか?

A:将来は映画業界の仕事をやりたいと思っています。VFX以外に撮影現場での仕事もやりたいと思っています 。

Q11:次につくる映像はどんな作品にしようと思っていますか?

A:次のプロジェクトはもっと長くてストーリーもちゃんと充実しているビデオを作りたいと思っています。

・動画を公開するたびにクオリティが上がる

学生だから自由に使えるお金には限りがある。そこでお小遣いを稼ぎながら、コツコツと貯めて制作費につぎ込んでいる。これが後々、ある程度の投資ができるようになったとき、どんな作品を世に送り出すことになるのだろうか。非常に興味が湧く。

最近も1~2週に一度のペースで動画を公開しており、映像のクオリティは少しずつ上がっているように見える。もしかしたら、この先1~2年のうちに何か大きな成果を出すかもしれない。とにかく譲さんの今後の活躍に期待したい。

参考リンク:PixelStomFilms
執筆:ちょい津田さん
Photo:村山晋一郎

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