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2013年10月17日、アップルは前世代「MacBook Air」に搭載された一部の SSD が故障すること、また対象の端末は無償で SSD を交換すると発表した。対象となるのは、2012年6月~2013年6月に販売された 64GB または128GB の SSD を搭載する MacBook Air だ。

これは、まっっったく他人事ではない。記者(私)も、まさに該当の端末を持っていたのである。そして、アップルの発表の3日前に SSD が故障するという悲劇に見舞われていたのだ。これは、その Mac 故障からデータ復活までの経緯である。これは Macユーザーだけでなく全ての PCユーザーに共通することだ。今回の件で得た教訓を報告したい。

・【SSDが壊れた日】 突然カーソルが「虹色の円」に変わり、再起動できなくなった

その日は突然やってきた。ある日、普段通り Mac を使っていた私。Finder を閉じようとカーソルを動かしたところ、カーソルの矢印が突然、小さな虹色の円に変わり、画面のどこも選択することができなくなった。数分ほど様子を見ていたが、虹色の円はぐるぐると回り続けるだけ。仕方なく電源ボタンを長押しして、強制終了することにした。

後で知ったが、この虹色の円、英語圏では「死のビー玉」という呼び名も持つほど、恐れられている存在らしい。この虹色の円が出現し、強制終了したら、SSDが壊れていたという経験をしたユーザーが多くいるようだ。

・「?」マーク付きのフォルダアイコンが現れる → リカバリーモードで起動

その後、再び電源ボタンを押して起動を試みた。しかし、画面には現れたのは、見慣れない「?」マークが付いた灰色のフォルダのアイコンだった。手元の iPhone で対応方法を検索し、セーフモードでの起動などを試みるが、失敗。次に、電源を押した直後にコマンドボタンと「R」キーを押し続け、リカバリーモードで起動したところ、やっと起動することができた。

・時既に遅し。SSD は消えていた……!!

この時点で、Mac に詳しい友人に電話がつながった。彼らに、その画面のスクリーンショットを送り、アドバイスを求めた。すると返ってきた答えは「あ、これはもう SSD が死んでる可能性が高いね……」というものだった。

ディスクユーティリティの画面を見ると、本来なら表示されているはずの我が Mac の SSD が表示されていないのである。つまり、存在が消えてなくなっているということ……。え? え? えーーー!? こんなにあっけなく、SSD は消えてしまうのか……!?!?

・SSD はなんの予兆もなく、突然壊れることがある

「なんの予兆もなく SSD が壊れる」という現象。恐ろしいことではあるが、実際にこういうことはあるらしい。

今回はアップルも公式に認めている通り、私の使っていた端末の SSD には元々不具合があったようだが、一般的な話として、SSD は予兆もなく、いとも簡単に使えなくなってしまうことが稀にあるようだ。

・近所の修理屋さんに持ち込み、SSD を交換してもらう

SSD が壊れた場合、復活するための方法はシンプル。SSD の交換だ。私はすぐに、現在住んでいるベルリン市内のアップルストアに予約を入れたが、一番早い予約可能日は4日後だった。仕事をするためにも一刻も早く Mac を復活させたかったので、近所のアップル製品修理店に持ち込み、そこで診てもらうことにした。

そこで、担当者から「SSD が死んでます」という正式な死亡宣告をいただいたあと、SSD の交換を依頼し、その3日後には無事に新しい SSD の入った Mac を手にすることができた。引き取り時点で、アップルから「SSD交換プログラム」の正式な発表が出ていたため全て無料。ふーーっ、良かった~!! と安堵の息をついた。

・定期的にバックアップをとることは「絶対必須」

今回、修理店のスタッフなど、みなにまず聞かれたのが「データは大丈夫?」という点だ。「バックアップはとっていました」と言うと、みな一様に穏やかな笑みを浮かべて「よかったね~~~」と返してくれた。

これは、まさに「不幸中の幸い」であるが、私はちょうど3カ月前に友人のすすめで、1.5TB の外付けハードディスクを購入し、そこに1時間ごとMac 全体のバックアップを自動的にとるという「Time Machine」の設定をしていたばかりだった。

おかげで、修理後の Mac を Time Machine を使って復元すると、故障直前のデータと設定が保存された状態の Mac へと、本当にいとも簡単にタイムスリップすることができた。これには、感動!! バックアップの大切さを、心から感じた瞬間だった。

・Gmail や Evernote など、クラウドを活用していて良かった!!

もう一つ、Macが壊れたときに、利用していて良かったと思ったサービスがある。それは Gmail と Evernote だ。私は壊れた Mac を修理店に預けていたとき、一時的に友人の Mac を貸してもらっていた。メールはすべて Gmail を利用していたため、過去のやりとりや添付ファイルの全てをネット上で確認することができた。

また、仕事で使う情報の多くを Evernote 上に保存していたため、これもネット上で確認することができた。おかげで、自分の Mac が入院中も、仕事に大きな支障をきたすことがなかった。クラウドサービスの便利さをこれほど実感したことはない。

・SSD は突然死するリスクを覚悟した上で、普段から対策をしておこう

今回の件で学んだことは次の2点だ。「SSD は突然壊れることがあるという事実を受け入れる」、「データのバックアップを必ずとる」この2つだ。定期的なバックアップこそが、パソコンへの依存度の高い生活における生命線なのである。

恥ずかしながら「自分の Mac が突然壊れることなんてないだろう」と思っていた。何の根拠も無く、だ。しかし実際には、突然壊れることは、ある。この事実を受け入れた上で、データを守る努力をすることが大切だ。私は友人のアドバイスのおかげで、大事なデータを守ることができた。本当に感謝してもしきれない。

リスクを受け入れた上で、万が一の時の対策をしておく。あらゆることに共通して言えることだが、非常に大切なことだ。今回の経験で、その大切さを身にしみて実感することができた。

参考リンク:Apple SSD交換プログラム
Report:佐藤 ゆき
Photo: RocketNews24.

▼「リカバリーモード」で起動したときの画面
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▼「ディスクユーティリティ」を選択 → 本来なら左に表示されているべき我がMacのSSDが消えていた…
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▼修理屋さんでチェックしてもらう → 故障しているのはSSDであることが正式に確定
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▼修理屋さんから帰還したMacをTime Machineで元の状態に復活!! バックアップ、本当に大事!!
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