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意外なものが精神疾患や自閉症の症状に大きな影響を与えることが判明した。それは「腸内環境」である。

これまでのいくつかの研究によると、ヨーグルトや納豆に含まれ、腸内環境を整えることで知られる「プロバイオティクス」を摂取することで、精神疾患の症状が大きく改善されることが判明したそうだ。腸内環境と脳は密接にリンクしているというのである。

・自閉症の子どもに腸内細菌の増殖を抑える治療 → 症状が改善

たとえば、自閉症の子どもに対して、ある腸内細菌の増殖を抑える治療を実施したところ、症状が大きく改善されるという結果が報告されている。

アメリカのグレートプレインズ研究所が、自閉症の子どもの尿を検査したところ、HPHPA と呼ばれる、腸内に生息する細菌「クロストリジア」の副生成物のレベルが、平均よりも非常に高いことが判明した。そこで、患者に対してクロストリジアの増殖を抑える抗生物質を用いた治療を行うと、自閉症の症状が大きく改善されたそうだ。

・強迫性障害・多動性障害に効果を発揮した事例も

また、精神疾患の患者に、腸内の良い細菌を増やす治療を実施後、症状が完治したという報告もある。ある精神科医が治療を担当した10代の少女は、深刻な強迫性障害や多動性障害を抱えていた。また、消化器の問題も抱えており、前述の自閉症の子どもと同じく、尿の HPHPA レベルが高いことも分かった。

医師は、少女にプロバイオティクスと抗生物質を使って、腸内の良い細菌を増やす治療を行った。すると、HPHPAの値は徐々に下がり始めたそうだ。治療開始6カ月後には、精神疾患の症状が改善されはじめ、1年後には症状が全く見られなくなったという。3年が経った現在も、再発していないとのことである。

・研究者「腸内の細菌はさまざまな形で脳に影響を与える」

カナダのマックマスター大学が行った研究では、腸内の細菌と不安障害のような精神疾患に関連性があることが判明している。マウスを使った実験では、腸内の細菌を持たないマウスは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が上昇し、不安やうつ症状と関連のある脳内物質のレベルも変化するという結果に。

研究者は「腸内の細菌はさまざまな形で脳に影響を与える」と話す。とはいえ、プロバイオティクスによる治療は一定数の患者には効果があるものの、全ての患者に効き目のある「万能薬」ではないともコメントしている。

精神疾患の要因は、幼少時代に受けたストレス、栄養状態、免疫系など多種多様だ。しかし、腸内環境もまた精神疾患に大きな影響を与えることを示すこうした研究には、驚いた人も少なくないのではないだろうか。

参照元:Mail Online(英文)
執筆:佐藤 ゆき
Photo:Rocketnews24.