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これは記者(私)がごく最近経験した、出来事である。自分の反省を踏まえて、皆さんの生活の参考になれば幸いである。

・少しずつ耳が聞こえなくなった
約2週間前くらいから、記者は自分の体に起きた小さな変化に気づいた。左耳がわずかに聞こえづらくなっていたのだ。これが痛みを伴う変化であれば、すぐにでも病院に向かったのだが、痛みやかゆみのようなものは全然なかった。「そのうち治る」、そう安易に考えたのがいけなかった。

・生活に差支えなかった
左耳が多少聞こえづらくても、生活に支障はなかった。生活するのに差支えなかったのも、もしかしたら問題だったのかもしれない。とにかく、すぐにでも医師の診断を受けることをしなかったのである。

ところが、毎日寝て起きるたびに次第に聞こえづらさは進行していた。聞こえづらさを数値であらわすと、元々聞こえていたレベルが「10」だ。最初に変化に気づいたときが「8」、そのうち「7」「6」「5」と低下していき、ある日の朝、耳に猛烈な違和感を覚えた。

・寝て起きるごとに状態悪化
綿棒を左耳に入れると、土色の耳垢が出てきたのである。これは、もしかしたら耳の内部が膿んでいるのでは? と考えたほど、ひどい色をした耳垢だった。これは早く病院に行かないと。切実にその必要を感じたのだが……、さらにその後2日間も足を運ばなかった。

そうしたところ、またある朝目が覚めると、猛烈な耳鳴りがし出したのである。高音の「キーン」という音が、頭のなかに鳴り響いているのだ。ただでさえ聞こえが悪いのに、「キーン」という音が聞こえの妨げになり、聞こえるレベルはもはや「1」程度。ゼロではなかった。ゼロではないが、左耳側から聞こえる音は、もう聞き取ることができないと言ってよかった。

・電話で通話ができない
左耳が聞こえなくなって困ったのは、まず平衡感覚だ。フラつくという訳ではなかったが、聞こえ方のバランスが悪く、気持ちが悪い状態。さらに何事にも集中できない。常に耳鳴りが響いていて、何も考えられないような状況だ。何より不便だったのが電話だ。記者は左の耳にスマホを当てて電話をするので、相手の声がまったくといって良いほど聞こえなかった。とはいえ、それほど高い頻度で電話をする訳ではなかったのが幸いだ。

・耳垢栓塞
もうこれはダメだと思い、翌日病院へ行った。医師に状況を説明すると、「なるほど、最近飛行機に乗りましたか?」と尋ねられ、「はい」と答えた。しかし飛行機に乗った前後で、今のような変化はなかった。すると、では「最初に右耳を見ます」といって、耳穴を覗く器具を取り付けられた。次に「左を見ます」といって、同じことをされたのである。すると、「ああ、これは耳垢が(耳穴を)栓をしてますね(耳垢栓塞)」という。え? たったそれだけで、こんなに聞こえなくなるの! と衝撃を受けた。

・耳の奥が抜けるような感覚
そして医師は、小さな管のような器具を耳穴に入れ、空気圧で耳垢を吸い出し始めた。「耳の中で大きな音がします。気分が悪かったら、言ってくださいね」、そう言うと器具が作動し、耳のなかでブオー! という強烈な音が鳴り響いた。かなり奥まで管を突っ込まれ、一瞬チクッとしたのだが、それ以外は気になることはなかった。しばらくブオー! という音を聞いたあと、不意に耳の奥が抜けるような感覚が訪れた。

・立体的な音
「どうですか?」と聞く医師のその声が、大変明瞭に聞こえる。それまで右側だけのモノラルで平面的だった音が、ステレオの立体的な音に変わったのである。診察室の隅々から音が聞こえる。待ち合いにいる診察待ちの人の咳払いや、受付の電話応対。また、隣の医師がカルテをめくる紙のこすれる音まで。おお! 世界が戻った! そんな興奮から思わず笑みがこぼれた。医師によると、「耳掃除で耳垢を奥に押し込んでしまったんじゃないでしょうか。耳垢が綿棒の形になっていたので」とのことだ。

・原因は不明
しかし、あの土色の耳垢は一体なんだったのだろうか? その原因はわからなかった。「もしも違和感や痛みがあるようなら、また来てください」と言われて、とくに薬も処方されないまま病院を後にした。記者自身、思い当たる節があるとすれば、聞こえづらくなる少し前に海に入ったことだろうか。もしくは、スポーツジム専用で使ってるイヤホンが、汚れていたためだろうか。

・耳掃除に注意
とにかく皆さん、耳掃除にはお気を付け頂きたい。下手をすると、記者のように耳が聞こえないという事態に陥るので、気を付けてケアして頂きたい。ちなみに記者は音が聞こえるようになりすぎたためか、日常的に世の中の「シャー」というホワイトノイズが聞こえるほどになった。普段聞いている音楽も、より鮮明に聞こえて新鮮である。

Report:ほぼ津田さん(佐藤)

▼記者の処置は耳垢栓塞除去。「複雑なもの」というのが気になる
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